木根さんの1人でキネマ 3 (ヤングアニマルコミックス)
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)
大体の内容「だいぶ1人で、ではなくなってきましたヨネ」。なんだか周りも映画を見始めるようになって、ぼっちではなくなる、と思ったか? 甘ェ! ということで自分の書いた物で他の人が映画を見だしても、それ私が、とは今更言えない木根さんの明日はどっちだ。そんななのが『木根さんの1人でキネマ』3感なのです。
今回の巻は所謂神巻でありまして、どの話も大変優れていてこれ! というのを抜き出すのが困難なのですが、それでもえいやっ! としますると、やはりエヴァ回が白眉ではないかと思います。
個人的なことを言って恐縮ですが(テンプレート前置き)、エヴァに対してはあまりいい思い出が無いというか、まああれだけ盛り上がって梯子外されたら普通は木根さんのアッコラー! ナンオラー! みたいなのになるものだと思いますし、実際私はそうでありました。でも、劇場版とか見た事が無いんですよね、エヴァ。個人的には木根さんのが思っていたような、ある種ちゃんとしたオチが無かったけど、でもああなってしまったというオチとして受け入れてしまったようです。なので巷の騒乱が全く意味不だったりしたのを、まざまざと思い出さされました。
でも、やっぱり道中は楽しかった。というのが、木根さんたちの視聴行動を見て思い起こされもしたのです。最後スッゾコラー! ではありましたが、それもあまりに高く積み上がってしまったこの話の落とし前がつかなかったからで、ずっと楽しみにしていたのだ、というのを思い出し、なんとも言えない微妙なアトモスフィアに包まれることになりました。だからこそ、木根さんのテメッコラー! に感情移入が出来て痛快で、同時にそれを見て笑うのもまた分かって大変面白い気分になりました。あそこでわりとマジの突きを入れる木根さんのガチ怒りっぷりは大変楽しかったですよ。リアリティというか、気持ちの乗った突きでしたし。
そっちはさておき、もう一つ上げるなら、フォースチョークもいいんですが、やはり『ジョーズ』の回が良かったです。子供にいきなりジョーズを見せるのはありやなしや、という命題の中で右往左往する大人の面々が愉快であります。とはいえ、『ジョーズ』はサメ映画の始祖にして終点ともいえる完成度を誇っています。そして恐怖度も大変高い。幼少期にはいいトラウマを植え付けられたし、という立場を取るなら、是が非でも見せておきたいですが、そうすると海全般が年単位で恐怖の的になってしまうという諸刃の剣でもあったりしますし、変な回線が開いて木根さんみたいなボンクラ映画好きになってしまう可能性もあるにはあります。それだけ『ジョーズ』が偉大なのですが、でもやはり子供に見せていいのか? という問いは深く心を打ちます。残虐だから見えては駄目なのか? 逆に残虐でなければ見ていいのか? そういう問いが脳内に渦巻きます。まあ、そう考えてしまうのは基本的に木根さんがボンクラなせいという可能性も濃厚ですけれども。そういう話の中で、最終的に佐藤さんが「映画は子育てしてくれない!」という言葉で場をきっちり〆て終わる形も含めて、完成度の高い回になっていたかと思います。
それにしても、冒頭でも書きましたが、木根さんの周りが映画を見だして、というのは木根さんにとってはいい意味でも悪い意味でも影響の強いことであるかと思います。趣味が暴露されあった旧友との付き合いもそうですし、会社のスターウォーズファン上司に打ち明けたりもあり、今までよりは隠さないでもよくなってきた感じです。とはいえ、blogの方を見ている部下には言えない、というかそうしたら色々破たんする! というのでそっちの意味では危険なアトモスフィアが流れている感じでもあります。このまま部下さんたちにも打ち明けられる日が来るのか。それとも隠し通すのか。どちらにせよわりとバレるのが秒読みな感じな木根さんの明日はどっちなんだろう。とか書いてこの項を閉じたいと思います。