ネタバレ?感想 ビリー 『シネマこんぷれっくす!』6巻

シネマこんぷれっくす!(6) (ドラゴンコミックスエイジ)
シネマこんぷれっくす!(6) (ドラゴンコミックスエイジ)

 大体の内容。「それが最後に表紙に繋がると信じて……!」。ということで、死ね部の熱狂の二年間の記録はここに幕を閉じます。名残惜しいですが、終わりなのです。その事実にそっと泣きする、勿論爆笑して、というのが『シネマこんんぷれっくす!』6巻最終巻の内容なのです。
 この6巻、初手から既にかなりの覚悟があります。あなた、覚悟してきた人ですよね。とジョルノ・ジョバーナ台詞がするっと出るくらい、退路を断ち始めます。新入生がいるものの、話の方では端役であり、というかとうとう3年になった先輩ズの朱に交われば赤くなり過ぎてビビッドな赤色になったガクトの代わりのツッコミ役として、平常の空域を任されていたりします。もうかなり気の毒な立ち位置なんですが、ここに小津さんまでガクト側にいってしまって、本格的に孤立無援だったのが印象的でした。お前らがちゃんとしないと、新入生孤立無援じゃねえか!
 さておき。
 今回は映画を撮る、という話を軸に進みますが、三人娘にそれぞれこれ以後の指針となるものがある、というのが大変良かったです。シナリオの宮さんはこのシナリオを作ったのを契機に小説家の方へ。花さんはこの映画で演者となって水があったのか女優の道を。そして黒澤さんはこの映画の監督をして一時的にブレイクして監督業に。ネタ部分が濃いせいでするっと見逃しそうになるけど、それぞれその道に出会う瞬間というのが、今回描かれていたのです。ただ映画の話でグダグダする漫画じゃあないんだよ! という意地を見せられた格好です。
 しかし、映画ネタの部分も無断濃いのがこの漫画。宮さんがシナリオの道に入るきっかけ回の、小津さんと留学生として舞い戻ったJの字のキラキラメンズ映画話は濃かったです……。
 基本Jの字が無駄に濃いのは以前のことで分かっていましたが、そっちもいけたか……。キュンキュンするなら割と何でもいいのか。そして、こいつ日本以外では生きていけないのでは? という疑問すらするっと湧いてくるので困ります。絶対水が合わなくなって出戻ったで、こいつ……。
 パルムドール回も良かったですね。新入生、二人が宮さん弟と黒澤さん妹で既出というか見栄えの変わらなさはさておき、わりと我関せずだけど姉がいるからの宮さん弟はまだしも、黒澤さん妹は部外者面で映画知らない面してて、でももう一人の哀れな新入生に映画情報を垂れ流すという、ぶっちゃけあなた何がしたいの? というムーブしてて、複雑な乙女心、というには何かが違うアトモスフィア出してました。黒澤さんの妹、というだけでかなり色眼鏡で見られそうなので、ぼっちを拗らせる前に予防線として死ね部に顔を出してたんでしょうか……。
 さておき。
 ところでガクトよ。お前は小津さんと黒澤さんと、どっちなんだ? というのが、最後に残った謎かと思います。
 あん? 映画製作上手く行ったのかの方がだったって? 小せえなあ。そんなことより乙女の行く末でしょう!!!
 ということで、今回の巻は最終巻でしたが、ガクトの気持ちというのはドさっぱり分からないままで終了してしまいました。小津さんもかなり頑張って告白してたのに、待ってる! って言うんだからこの子良い子過ぎない……? 今も一途に想い続けてるの……? ってなります。
 対して黒澤さんの方は映画製作で大きく方針転換せねば、という所でガクトが好きです! とかいいだして、もちろん異性としてではないんですが、それでも黒澤さんがガチで揺れてしまってたのですよ。ガクト、おどれはー!
 その辺がしっかり機微として分かるやつではない、というのは分かってますが、それでもお前待ってる小津さんがおるねんぞ! そこんとこちゃんとしておかんとぶちくらわすぞ? お? という風にガラが悪くなるのもしょうがないと思っていただきたい。ガクトに二重恋愛とかする器量がないのも分かっているんだけど、でも形的にそれっぽくなってて、むがー! となるのでした。しっかりせえや!
 さておき。
 この巻で、死ね部の青春は、再び動き出して、さてどうなる。という終わり方でしたが、皆それなりに社会に出たのに鬱屈してた、ところで映画撮ろうぜ! ってなるのはなんかスカッとしました。全く、それがどうなるか、どう転ぶかも分からないまま放り投げられて終わったのに、何故か6巻表紙が行きつく先なのかしら? という謎の信頼感というか、こいつらならやるやろ。なのを持ったりもします。
 そういう話、最後まで見たかったけど、投げるように終わることがこの漫画にとっては最上の策だったのだとも思えます。そこを含めて、分かんねえけど大丈夫だ! みたいな感覚が、死ね部の面々にはあるなあ、と思うのでありました。
 そんな訳で最終巻、堪能させていただきました。とりあえず小津さん派な私としては、ガクトぁ! みたいな気持ちもあるんですが、そこは勝手に妄想することで補えばいい。そう思う吉宗であった。
 ということで、感想終わります。したらな!