ネタバレ感想 よしむらかな 『ムルシエラゴ』18巻

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 18巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 18巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

 大体の内容「まあ剣聖が出たら勝てんわな、からの小学生百合キマシ塔!」。魔弾の射手編はさっくりと終わってしまいました。そりゃあ剣聖が出たら勝てんわな、案件ですが、某スナイパーも絡んできて、というので一体どういう理屈であいつは狙撃してたんだろう、というのが謎でした。
 しかし、そんなことも小学生百合の前では霞む! ということで、凛子ちゃんがおねロリから新たに百合の世界へと突き進む、んだけど……。そういう罰恋編突入するのが『ムルシエラゴ』18巻なのです。
 魔弾の射手編は、17巻*1最後でやはり生きておったか、宮本玄乃! だったせいで、魔弾の射手は磨り潰されてました。それも殺気だけで、というので玄乃さんの凄腕っぷりが分かり過ぎて、この為の当て馬かお前……。ってなってしまいました。その上で、朽葉っちの狙撃でトドメを刺される、という可哀そうな感じに。ここで朽葉っちがどういう依頼で行ったのかが分からん。ちゃっちゃんが依頼したんですけど、なんで千代ちゃん家に魔弾の射手が居るのを知っていたのか? そこが地味な謎として立ち上がってまいります。朽葉っち、どうしてその情報を?
 その後は、黒湖と朽葉っちのエキシビジョンマッチで色々噴きました。する意味の無さもですが、黒湖が狙撃点を完全に見切ってて、その部分で噴かざるを得ないものでした。そもそも朽葉っちの位置が分かってた、というのも頭おかし過ぎます。射角で気づいたんでしょうけど。前に、ドメスティックキラー編で邪魔されたから意趣返しという感じですが、今回は狙撃する場所をかなりピンポイントで分かっていた、指で作った〇の間に弾が、ってんでマジ何の戦いしてるのこいつら、という酩酊な感覚に陥ります。能力が異次元で訳分からん過ぎる……。超能力使ってない世界なのに、超能力では? までありますよ……。
 さておき。
 今回のメインである罰恋編は、またしても凛子ちゃんに試練が待ち受けます。というのも、凛子ちゃんが通う小学校に、以前凛子ちゃんがキラーだった頃に殺害した男の人の、娘がやってくるのです。その影響もあり完全に目が死んでいる彼女、観鈴ちゃんに、そうとは知らずに世話を焼いたりする凛子ちゃん、だったのですが、観鈴ちゃんの家の仏壇を見て気づくんですよ、凛子ちゃん。この子の父親を殺したんだって。それでも、どうしたらいいのか、バレないなら言わない方がいいのか、というので懊悩する、凛子ちゃん。あまりに自身のしたことが悪すぎて、逃げ出しておいて、でもどこにいくんだろう。観鈴ちゃんの目が死んでいる理由の自分が、どこへ? となっていきます。凛子ちゃん……。
 しかし、この話は最終的に、観鈴ちゃんに凛子ちゃんの正体が分かる、というのが既に提示されます。それでも凛子ちゃんは危機にあった観鈴ちゃんを助ける、観鈴ちゃんは凛子ちゃん好き……、というので、この話どうなるのー!? というかなり凶悪な引きがある、ムルシにしてはわりと珍しい回となっています。本当にどうなるんだろう……。
 さておき、罰恋編の悪い人は、父親の前で母娘をなぶり殺す、というヤバイやつが多いムルシ犯人の中でも相当ヤバイ相手。その上で、観鈴ちゃんを誘拐し、父娘のロールプレイを始めます。父がいなくなった観鈴ちゃんと、父の前でなぶり殺す殺人鬼。その奇妙な生活は果たしてどこに向かうのか。その上で、凛子ちゃんは自ら観鈴ちゃんの父を殺したと告白するのだろうか。どうなるんだ、このシリーズ……。
 それにしても、凛子ちゃんはこの漫画では一番割を食っているキャラクターであるなあ、というのがやはり目立ちます。殺すことに対する考えとかが、確実に普通じゃない自分に対して、劣等感とも違う特別な感覚をもっている訳ですが、そのせいで、自分の人殺しの部分を否定したい。というのと、でも事実人殺しだ。という部分で葛藤している。そういうのが大変難しい位置にいるなあ、と。自殺未遂までいって本当にケアがいるよな、と思うところ。これで大人が模範を、とも思うんですが、一番それの役だろ主人公。な黒湖がその辺をだまくらかして凛子ちゃんを手駒としている段で、範となれない訳ですよ。藍子さんもあれはあれでおかしいからやっぱり無理っぽそうだし、ひな子? あれはおえんのです……。なので凛子ちゃんが自力でその辺を切り啓くしかないのだろうなあ、となります。不憫すぎる……。9歳で背負うもんじゃねえよ……。そしてやっぱり黒湖クソアマだ……。
 となる18巻でした。本当に凛子ちゃんの方が主役として張っていけそうだよなあ。