ネタバレ?感想 よしむらかな 『ムルシエラゴ』19巻

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 19巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 19巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

 大体の内容「いやこれ凛子ちゃん主人公やろ、この漫画」。ということで、今回の犯人キルは凛子ちゃんが受け持つこととなり、つまり凛子ちゃんこの漫画の主役可能性すらあると、勝手に思ってしまうくらい凛子ちゃんフィーバーだった罰恋編が終了するのが『ムルシエラゴ』19巻なのです。
 罰恋編、犯人が気持ちは分かるんだけどやっていることが1000%あかんという、雨の日の誘拐犯と似た所がある、と思ったらその被害者家族だった、というネタがぶっこまれて、禍根、という言葉を書き連ねたくなること請け合いな展開でした。
 罰恋編の犯人は、雨の日の誘拐犯みたいなスーパーむごいことにはならなかったものの、犯罪から犯罪が生まれる流れと、犯人のそこだけは確かにあった、と言う気持ちが同時に励起してきて、なんでこんなことに……。とならずにはいられませんでした。苦い。
 で、なんで黒湖がサツガイしてないの? ですが、今回は犯人が来ると目星をつけたとこがとタワーだったのです。そのエレベーターが使えなくされており、となるとどうやって登るの? ですが、藍子さんのワイヤーワークとひな子ちゃんパワーです。まあ無茶をしたというのだけは確かですが、そうなると黒湖は重すぎるのよ。あいつデカ女だから。こういうのなら軽い凛子ちゃんが適任、となった訳です。
 さておき。
 罰恋編の最後の流れは、この回の流れ、ある犯罪から、と言う部分をきっちりショウカした形で決着します。のえるちゃんの父をサツガイしたのは、凛子ちゃんです。そのことを、ちゃんと言う、と覚悟は決めていた凛子ちゃんですが、その土壇場で先手を、もしかしてパパを殺したのは、という質問をされてしまいます。
 こっからの流れが、罰恋編の犯人とのえるちゃんを分かつところとなっています。罰恋編の犯人と同じように犯罪で家族を失ったけど、それを乗り越えてしまうのです。つまり、愛だな! 愛だね! なのです。
 正直に言って、それが正しい選択かと言われると、そういった相手にお前が正しいって誰が決めたよ、って言いたくなります。言われてしまえば、嫌うしかできなくなるけど、そうできないくらいに好きなんだ、って訳ですからね。正しい、っていったその口にそれ程の覚悟があるのか? であります。でも、案外茨道というか、いつか破綻しそうな気はしますが、それでもそれを選択したのだから、そうなって後悔は出てこないだろうなあ、とかなんとか。というか、ここもある意味主人公ムーブだな? 凛子ちゃん主人公可能性はまだまだあるということか?
 さておき。
 お話面では添え物だった黒湖ですが、今回は人妻を二人もちゃっかり頂戴してたのが印象に嫌でも残ります。傷心の母親を、玩弄するのです。いや玩弄は違うか。弄んではない。ちゃんとその気持ちの虚を癒そうとはしている。そこに嘘がない。その前段階ではかぎかっこの嘘八百だったのに、そこに至る話になるとちゃんと本当のことを話すから始末に悪い。究極、女を抱きたいだけなんじゃねえかこの黒湖。という感想も出てしまいますが。
 だって、人妻抱いた! それも二回も! というのだけ見ると本当に女抱きたいだけにしか見えねえんだよなあ、今回の黒湖。張り込むポイントを絞った点はお手柄なんですが、それが特に人妻二人抱く必要がなかったっぽいので、ホントこいつ趣味に生きてねえか? まであります。殺すか女を抱くかしかしない、ことはないんだけどそこが異常性高くて記憶に残り過ぎるんだよなあ……。
 さておき。
 次は温泉回、にただなるだけならいいけど、ちょっと色々ごたごたするんだろうなあ、という雰囲気が次回予告から発されており、というか、こんなベタにクローズドサークルするの、悟老人の悪人サツガイ館以来では、とか思ったり。あれはあれでクローズドサークルかと言われると謎いですけど、ここまでベタなの、逆にあんまりしてなかったというのは盲点と言えるでしょうか。あるいは、記憶違いで他に似たようなことしたことあったかも? 再読せねばな……。
 とかなんとか書いて、今回の感想は終了! したらな!