感想 よしむらかな 『ムルシエラゴ』10巻

ムルシエラゴ(10) (ヤングガンガンコミックス)

MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 10巻 (デジタル版ヤングガンガンコミックス)

(画像はAmazonの紙書籍。文章はKindle版)

 大体の内容「鮫から驚いた!」。<白い流星>編のごたごたが大ごとになってる……。というだけで済まされる中、ひな子ちゃんがサメ見に行きたい! 鮫! 鮫! 鮫! となったので水族館に千代さん達と行った黒湖。しかし、そこで展示されたサメが人の手を吐き出して……。そこから始まる<THE DEEP ONE>編が、10巻の骨子なのです。

 <THE DEEP ONE>編、序盤の楽しい雰囲気な水族館デートから一転。陰惨な事件へと発展していきます。今回は偶然サメが人の手を吐くところに居合わせてしまったせいで真相を探ることになった黒湖。基本乗り気じゃないんですが、調査の過程で地元のロリ巨乳浜っ子スイレンちゃんに出会えたのでおーるおっけーってなっている辺り流石の黒湖です。そこ揺るがんかー。

 さておき。

 港でひな子ちゃんが「うまみが、うまい」したりしている中で、サメの吐いた手の持ち主が判明。前科がある人だ、というのでそれを元に港町で探りを入れると、出るわ出るわ、行方不明者が。流石に多過ぎるので、鶴さんたちが署に戻って調べてみると、行方不明者は小さいのも合わせてほぼ前科持ち。これは一体? となったところで黒湖が粉をかけておいた教会の神父とシスターがどうやらそれと関係がある、と提示されて、調査により繋がりを感じていた黒湖がそこへ強襲。何かある様子がありありで、逃げていくのでさて追うか、となったところでこの巻はお開きとなります。さて、この後どうなるやら。

 という既に11巻どころか12巻が出ている段階で濁すのはさておき。

 今回の話はわりと丁寧に事件を追う形。ぱっとで神父さんもシスターもヤバい相手感はなく、いや、ちょっとはありましたがまだ黒幕がいるっぽいことを言っているので、ここはそっちに比重をかける感じなのかなあ、と。相手が小粒な分、黒湖もそれ程凶悪なムーブをしてないのもあります。その辺の取捨選択は黒湖でもするんだなあ、と言えばいいのか。

 さておき。

 今回の悪役が小粒な分、黒湖のクソレズムーブの方は花盛りです。相変わらず困っている女の子がいると篭絡する以外の選択肢を取らない、助けるのではなく篭絡する方にいく黒湖ですが、今回のゲスト女の子スイレンちゃんに対してここぞで抱き着いて包容力を見せる辺りがマジで選択を誤らないクソレズであるなあ、と。この辺の、どう動けばいいかの嗅覚が優れ過ぎています。それでいて、スイレンちゃんがお父さんの件が怪しい、となって意気を持ったのをきっちり見抜いて連れていく、ではなくついていくに持って行く辺りも抜かりありません。なんなの。なんなの黒湖のこのクソレズムーブの的確さ。こと女の子に関することで失敗したの見たときねえですよ。なんなの。

 さておき。

 今回の事件に隠れて忘れそうですが、水族館デートでの千代さんの正妻ムーブも忘れてはいけません。千代さんが、私が死んでも黒湖のままでいて、という台詞は、たぶんその時に黒湖の心は揺れないだろうなあ。という読者側のコンセンサスはさておいても、かなり重要なファクターになりそうな台詞だと思います。

 千代さんが死ぬ時、黒湖の心は揺れるのか? というのは結構大きな疑問です。あの黒湖が? あるいは、その死んだ時というのが、黒湖が千代さんを手に、という場面ではないか? と、うがった見方さえして勝手に戦々恐々するので、そういう台詞回しやめて欲しいですねえ! 黒湖なら平気でやりそうだから止めてくれよお!

 ということで、10巻の感想でした。次の11巻は<THE DEEP ONE>編の顛末と、<剣聖>編の端緒になります。また追々。と書いてこの項を閉じたいと思います。