ネタバレ?感想 原作:広江礼威 画:やまむらはじめ 『BLACK LAGOON エダ イニシャルステージ』2巻

BLACK LAGOON エダ イニシャルステージ(2) (サンデーGXコミックス)
BLACK LAGOON エダ イニシャルステージ(2) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容「ホント、ブルシットジョブばっかだな、エダさん」。1巻後半の仕事の不手際でクビ一歩手前なエダさん。なので挽回の為に非公式な仕事をするのだが……。というの話と、一応クビはつながって、で向かうバルカン半島での更なるブルシットジョブの話。それら余さず綺麗に入っているのが、『エダ イニシャルステージ』の2巻なのです。
 前半の方の仕事は、一線を退いた元情報工作員が妻を失ったタイミングで姿を消した。というので、それに嫌な予感がするとのふわっとした理由で、エダさん達が非公式に派遣される事に。そしてその上層部に来た勘は現実のものになるわけですが、犯人の工作員の、今までは家族がいたから塞いでいた穴が、その重しが除かれて深淵を見せた、という類。全てを失ったら、その上に復讐なら、なんでもしでかす、という見本のような話でした。相手の家族襲わなかっただけ理性的だった、というよりはわりと過去と関係あれば誰でも良かったっぽいので、工作員を放置するとあぶねえな……。という知見を得たような気持ちです。スキルがなまじあるから、やる気になったら止めるの大変だな……。実際の工作員とか、後の処遇はいいようにしてるんだろうなあ。暴発されたら敵わんし。
 あと、今回被害者になりかけた方が加害者に同情してたりしたのも複雑な味わいでした。時と場合が違えば、とかなのかねえ。エダさんはしみったれと切って捨ててたのも分かるけど、あの穴は埋めたつもりでも場合によってはすっと出てくるもんなのかもなあ。ある意味、時代に翻弄された、という類の話なのかもしれません。
 後半はバルカン半島で行われる、やまむらはじめ本気のブルシットジョブ。エダさんが完全にだしにされている酷い話でした。あまりに酷いので、見てください! とシャクティ声になるくらい、是非みんなで胸糞悪くなろうぜ!  な逸品。CIA側も武装組織側も総じてクソオブクソ。一応カタルシスもあるけど、それ以上にもんやりした物が残る方向性のものでした。ホント救いのない話でしたね……。
 さておき。
 1巻の感想でも書きましたが、エダさんのCIAを辞めない理由ってなんかあるのかしら。2巻も引き続きブルシットジョブ連発なので余計に思ってしまいます。その辺が特に語られないので、エダさんがひたすらブルシットジョブの地獄に居るのはむしろちゃんと何かある、と帰納法なんだか演繹法なんだか、とにかくなんとか演算出来ます。ですがその目的、あるいは国の為とは言え、いくらなんでもここまでブルシットジョブ連打されたら流石に参るんじゃないか。というか、1巻からこっち、やることなすこと全部ブルシットジョブじゃねえか! 暴力教会、むしろ今までで一番いいまであるんか!? というよりそういう星のもとに生まれたの!? なので、マジでエダさんのモチベーションがどこにあるのか気になり過ぎます。そこんとこの開示はあるんかなあ。
 というよりは、そもそもエダさんがCIA向いてないんじゃないか? というのがふっと思考に沸いてきます。2巻後半の話の結末の流れとかマジのブルシットジョブで、最後にしたことは一応理屈はつけてたけど実際やったことはほぼ怒りの発散だった形だし、実際CIAにいないほうがいいのでは? まであります。それを乗り越えて、ロアナプラの暴力教会にいる、というんだろうか。確かにロアナプラではCIAとしてはクレーバーに仕事こなしてるしなあ。特にノベライズ2巻では、この頃の気質だったら途中でぶっちってオウサツしてそうだしなあ……。
 あと、エダさん、上司運無くないか? ってレベルでクソ上司に当たりまくるのも、様式美になりつつあるくらいの出来栄え。CIA、ろくな組織じゃないな? ってなってしまうのも無理からぬ。今までの話でCIAいいとこ、とは流石に思えぬ。2巻の話も前半は上層部が勘で動いている! だったし、後半は後半である種餌の役割にいいように使ってるしだし、ブルシットジョブになるのは上司運のせい、ってまとめてもそんなにおかしくない気がするレベルです。特にバルカン半島の。なんなんだあのクソ上司……。まだ暴力教会のヨランダ婆のがいい上司だよ……。
 さておき。
 ひたすらエダさんのブルシットジョブを見続ける漫画になりつつある『エダ イニシャルステージ』ですが、ここまで汚れ仕事を連発し続けていくのか、なんか違う方向性を見せるのか。どっちにしろブルシットジョブにしかならない気配だけは一級品。というか、CIAには絶対なりたくない。というのだけは見ていて思えるので、CIAは業務妨害で訴えても良いのでは? まである漫画かもしれません。流石にエダさんレベルのブルシットジョブばかりじゃないんだろうけど……。フィクションの情報部署、入っても碌な事ない説の傍証がどんどん積まれていく……。
 とかなんとか。