大体の内容『既にルーキーとは異質の気配が漂ってますねえ……』。この4巻までに立て続けでブルシットジョブをしてきたせいで、そういやまだルーキーの範囲なのか、と思わされるタイミングがあったりするのが、『BLACK LAGOON エダ イニシャルステージ』4巻なのです。
3巻からの引き続きのロシア諜報員の話は、予想通りに愁嘆場になりましたが、話自体は混雑しすぎてわちゃわちゃした印象。諜報員、その父、その娘を攫った輩という線が交錯する中でどうなってるんだ、というのに適宜応答しただけの話だったな、という印象です。典型的な振り回された話であったと言えましょう。
その話の結末はビターながら諜報員の人がクソ親から解放されて、自分はしたくはなかったのか、となるとこが非常にオチとして飲み込めるものでした。結局自分はどうなんだ、というのが混線していたんだなあ。
その話はエダさんはわりと蚊帳の外というか、勝手に進行して勝手に終わったので、エダさんとしてはある意味ではブルシットジョブですが、また角度の違うブルシットジョブだったな、という感じでした。
しかし、4巻後半の話はド直球且つ相当のブルシットジョブです。
政情が安定しない国で、その政情にどう関与するか、みたいな話だったのが、接触した高官が大統領暗殺したいんだが? というド直球なことを言いだしてきます。いくらCIAでもそれはできんですよ!? とはいったものの、なんとか裏の手で、とか言い出すのでどうしたものかと。
そして、流れでゲリラとも顔をつないでいきつつ、そのゲリラが軍部に強襲されて、と事態は一気に混迷を深めます。これがどうなるのか、というのが5巻に繋がっていきます。
それにしてもこの4巻後半の話で、エダさんがまだルーキーだ、というのが出されて、それもそうなんだけど! となってしまいました。これは今までこの漫画で描写された仕事が一々ブルシットジョブだったので、普通のCIAとは全く違う経験値をガンガン積み過ぎてしまったというのが原因でしょう。つまりお前のようなルーキーがいるか。
というか、そんな経験値があるがゆえに向かわされたようなとこがある4巻後半の話のブルシットジョブ具合がやばすぎます。ちょっと政情不安だからCIAの仕事としては基本のやつ、経験積ませるには楽な作業よ、なはずがいきなり大統領暗殺したいなので、どんだけエダさんのブルシットジョブ誘引力つええんだよとしか言えません。もう前世の因縁レベルの何かがあるだろこれ。
とはいえ、90年代CIAというのがどういう位置にあるか、という話としては面白いところです。暗殺したい。裏から手を回せるだろ。という話にもう冷戦終わったんですよ!? そんなやんちゃなことできませんよ! と言う同僚が、ならなんでお前らいるんだよ。というCIAのある種矛盾を突かれます。そこにきっちり反論できなかったりして、CIAも大変だなあ、ってなりました。冷戦時代みたいなことが出来ない時代になっていく中で、どういう組織なのか、というのが見つめ直されてた頃なのかしら? とか考えちゃいました。
さておき。
1巻登場の小僧との縁でゲリラ側と深く関係を持ってしまうエダさん。強襲されるゲリラ。それが5巻でどうなるのか。ブルシットジョブからもう一段階ブルシットジョブに移行するのか。どう転んでもブルシットジョブにしかならないエダさんの明日はどっちだ。
とかなんとか。