ネタバレ?感想 イダタツヒコ:広江礼威 『BLACK LGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘』2巻

BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘(2) (サンデーGXコミックス)
BLACK LAGOON 掃除屋ソーヤー 解体!ゴアゴア娘(2) (サンデーGXコミックス)

 大体の内容「ロアナプラは今日もロアナプラです」。東南アジアの暗黒街、ロアナプラ。その闇の中で特に懸命ではないけど、それなりに大変ながら生きている面々の話。それがブラクラスピンオフ、『掃除屋ソーヤ― 解体!ゴアゴア娘』なのです。
 今回はシェンフォアやロットンが結構出る回もありつつも、基本はソーヤ―の掃除屋としての仕事がメインとなっています。当然、その導線は色んな方向からなので、単調ではなく、突然出てて来た893との出会いと別れの回とか、突然出てきた同業者との愁嘆場とか、あるいはロアナプラの歴史の一部としてロベルタ禍の時の話もあったりと、バリエーション豊かに綴る話となっています。
 個人的にに好きなのは墓守バニー・ザ・アンダーテイカーちゃんが出る回、それも二回ともです。
 一回目は初登場回ですが、ソーヤーと仲がいい、というだけで大体の読者がこいつ、ヤバイ! となるところを全くその通りでさあ! してくる様などが最高です。そして、近接武器最強まであるシャベル使いである、というのもちゃんと魅せてきます。当然研いでますが何か? って感じで首ちょんぱしてました。こうも勝手にロアナプラにヤバイやつ増やしていいのか!? 案件を易々とくぐっていく様は壮観で、流石ロアナプラ、と超強引に納得させられます。墓守と言いながらソーヤーが墓荒らししてるのも黙認してたっぽい辺りのグダグダなとこも最高。ヤバいとこのヤバイ役にうってつけの存在です。
 二回目は、また突如出てきた。ソーヤーのご同業、単純に掃除屋ではなさそうだけど、なドクター・ヤコブと親子っぽい関係だね! ってやっているところですが、そこで当然ドクター・ヤコブが悪い意味で患っており、そこで性癖を開陳してソーヤーの命を狙う、という展開にぶち込まれます。丁度ロベルタ禍の頃だったので、その頃ソーヤーはそういう目に遭っていた、ということでそんなミッシングリンクの埋め方ある!? ってなるところです。こんなミリキ的なキャラがその頃何もしてなかったことがある訳ない! ってのは分かりますが! 大体、ドクター・ヤコブ性癖尖り過ぎだろ! どっかのドメスティック・キラーより尖んがっとるわ!
 さておき。
 個人的に再び好きな回というか、趣向が面白いと思ったのは、モキュメンタリーPOVぽく、ソーヤーが持ってきたカメラでの視点のみで描かれる回。シェンフォアやロットンのプライベートショットなどもありますが、特にロットンの基本的に奇行とゲーマー度が光り過ぎてました。ロットンて、こいつどこまでもマジなんだけど、どこまでもバカなんだなあ、という感想がするっと出てくる奇行と、そのせいでバタバタしなくてはならないシェンフォアの苦労っぷりに頭が下がります。これだけロットン達が自分の家にズカズカ、それもとうとうロットンが謎の友人を連れ込んでいて、ってなってて、完全に寄り合いの場となってる感じなのが、他人事なので大変面白かったです。普通の漫画では出来ないような、カメラだから、という言い訳がかませる特殊な視点も多く、そういう意味でチャレンジブルな回だったとも言えるでしょう。
 さておき。
 1巻ではスーパーナチュラルというか、不思議な話も多かったですが、今回はその面が少な目でした。と言ってないではなく暴力教会のエダと遭遇した、意味不明の状況はすんごいスーパーナチュラルな話でした。いきなり頭がおかしくなったやつのせいで人殺しの場となった教会で、突如巻き起こる霧と謎の人影とのバトル! そしてエダの目の前に出てきたのは、いつだかの、エダをCIAと気づいたあのカウボーイハット! それをチェンソーでぶっさすソーヤー! というとこでエダの意識は遠のき、気がついたらただ最初の死体だけが並んでいるという状況に。完全になんだったんだ! な回ですが、そこがいいんだ……。本当になんだったのか分からないまま終わるんですが、本当そこがいい。素晴らしい。理由? 知るかタコ! みたいなぶん投げ具合。これこれ! イダタツヒコ先生の訳の分からない話最高!
 そんな訳で、ソーヤーの日常を追うだけで話が出来てしまうような、こんな芳醇なキャラだったのか、というのが、『掃除屋ソーヤー 解体ゴアゴア娘!』なのです。