ネタバレ?感想 山口貴由 『劇光仮面』6巻

劇光仮面(6) (ビッグコミックススペシャル)
劇光仮面(6) (ビッグコミックススペシャル)

 大体の内容「真理りまさんに襲い掛かる、絶妙に嫌な包囲網!」。真理りまさんに目を付けたヤバイ奴の手管で、ドンどん真理りまさんが追い詰められていく、という話ですが、ヤバイ奴が本当にヤバかったり、実相寺がメタなのかメタじゃないのかというラインを攻めたりと、真理りまさんが追い詰められる本筋以外の部分でも謎の緊張感があるのが、『劇光仮面』6巻の様態なのです。
 今回の真理りまさんに降りかかる難題の原因である百目は、共感覚持ちであるのは全然いいにしても、それが何故か真理りまさんの使っている石鹸やシャンプーを飲食するという方向に舵を切るという思い切りが良すぎて流石に二度見を禁じ得ない怪人物。ついでに車の衝突実験に使うダミー人形を個人で購入、その尻を打ってデータを取り、程よい加減を見出そうとするなど、怪人物って言っても限度があるだろ! というド級の怪人物になっています。
 これで普通に一般人、5巻で出た怪人の人達とは違ってまったくのノーマル人間の模様なので、山口先生が飛ばし過ぎているという懸念がふつふつと湧いてきます。ここの緊張感というか、次に何をしてくるかわからないという一種恐怖さえ覚えます。ダミー人形の尻をぺしんぺしんしてた時は「うわあ! いきなりギアを上げるなあ!」ってなりましたよ。わしは何を見せられているんだ? という謎の感覚。『劇光仮面』は開始から今までそういう変ともいえる緊張感がありましたが、それをまだこうすることもできるんだぜ? というドヤ顔でしてくる山口先生はできているとかの次元じゃないです。
 それはさておき。
 6巻の見所は百目タイタンじゃねえ百目ゼツロウの追い詰め方とかですが、個人的には実相寺が真理りまさんの事件が解決した? というタイミングでメタ読みをし出すところが見所です。実際の事件に対してこれはまだ真犯人がというメタ読みをするという段階で脳が特撮に侵されていますが、しかしそのメタ読みがこの漫画のメタとしても機能して、実際事件は終わっていないというのが読者に提示されています。
 ここ、さらっと終わってますけど結構無茶苦茶というか、作中人物が物語的なメタ読みするのがこの漫画である『劇光仮面』のメタ読みになっているという、第四の壁に抵触スレスレの脱法思考になっているのです。正直、読んでて頭が「????」ってなるくらいこの漫画のメタ読みになっているけど、作中では通常の物語へのメタ、という地点は正直意味不明。何をされているだ? となりました。作中メタが作全体のメタになるな!
 さておき、真理りまさんの事件は解決に向かっているようで向かっていない、というのが提示されていますが、ここにどう実相寺が絡んでくるのか。メタ読みで真犯人がいる、と考えて動きそうですが、そんな無茶を通す筋というのがどう出てくるのか。あるいは単に実相寺が頭おかしいで済んでしまうのか。7巻が楽しみです。