ネタバレ?感想 野津ゆき子:中村力斗 『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』2巻

君のことが大大大大大好きな100人の彼女 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
君のことが大大大大大好きな100人の彼女 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

 大体の内容「ギアがはいってきている!?」。
 この巻で二人の運命の相手が追加され、そのたびに入るワンクッションが極めてネタ度合いが高いがゆえに濃さがどんどん増しているのが、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』なのです。
 この漫画、濃いとは聞いていましたが、本当に濃い。
 のに、まだこれが序盤だ、というのでこっからまだまだ濃さが増すのか……、となってしまいます。
 これ以上濃さが増すのはジュネーブ条約とかの違反になるのでは? と妄言すら出てきます。それくらい、既に特濃なのです。
 その辺は、新しい運命の相手が追加されたらみんなでなんかする、というのがあるからでしょうか。この巻だと、栄逢さん加入からのプール回と、薬膳さん加入からのキスゾンビ回ががそれに該当するわけですが、どっちも新規加入者を立てつつも全キャラに焦点が当たるという、濃いめの展開となっています。
 プール回はその前に栄逢さんとデートしたので今度はみんなと、というやつですが、四人四様の見せ場があります。これはキスゾンビ回もですが、ちゃんと今いるメンバーを全員立てる、逃すことはない。
 そういうムーブを怠らないので、だから大変濃い味となってしまっています。癖強です。
 ですが、それでいい。もっと癖出して走れ。と、焚き付けたくなるくらいには、この濃さはよい。
 プール回では静ちゃんさんの一連のムーブが、つまり屋内プールで遭難するという意味不明のが、非常に高い蓋然性を持っています。
 静ちゃんさんは声を出すのが苦手、本の文章で話す、というのでスマホに音声発生機能がついてスマホで疑似的に発声するようになっているんですが、そのスマホの充電が切れて、という最後の絶望感は中々でした。だから屋内だというに!
 でも、この後の恋太郎の、静ちゃんさんのか細い叫びを聞き取って助けにいくとこが凄い漢だ……。ってなりました。こういうとこでそつがないというか、ちゃんと何とか出来る恋太郎の人間性能が羨ましい。そりゃちょっと危ないとこあるけどみんな惚れるわ。
 先の方が濃いといわれますが、このプール回から既にこの漫画のカオス具合がキテいます。何度も言うけど濃い。
 花園さんと栄逢さんがおぱい触らせまくったせいで恋太郎が鼻血多量で気絶したりとか。
 花園さんと栄逢さんの恋太郎へのマウストゥマウスに悉く失敗していくとか。
 院田さんが水着姿みられると、花園さんと栄逢さんのボディと比較される! からの体が冷えるとか言ってフードタオル装備、からのメロンソーダ! という秒で自分の言ってたこと忘れる様とか。
 そして静ちゃんさんが屋内プールで遭難するとか。
 もうこの段階で並みの漫画なら仕上がっていますが、次の運命の人、薬膳さん加入からのキスゾンビ編は仕上がりが更に上がっているので、普通の漫画なら完全に過剰なレベルになっています。
 でもこの漫画なら適用範囲内。おかしいですよ、カテジナさん!
 で、キスゾンビ編ですが、薬膳さんのお薬のせいで薬膳さん以外の女の子がキスゾンビ状態に! なんとか解毒剤を飲まさないと、女の子たちがやばい!
 というので放置出来ないし解毒剤作りにいかないといけないし、なんとか止めないといけない。という変な極限状態になっていきます。実際、キスされると気持ちよくて逃れられない! というので、自然とキスをする展開を、変な設定で納得させてきます。
 そしてこの流れで、花園さんと院田さんが百合キスしまくるという展開をさりげなくぶち込んできたり、やっぱり静ちゃんさんがパワーが足りないので吊るされて無力化されたりなど、変な見所が沢山ありました。この無茶苦茶さよ。
 というか、静ちゃんさんが吊るされたとこは大変可愛くて良かったです。ああいう吊るす感じってなんかいいですね。ぬいぐるみを洗った後の外干し感。なんか愛らしい。好き。
 さておき。
 今回の加入人物の栄逢さんと薬膳さんはどっちもよいです。
 栄逢さんは効率厨みたいなとこある才媛だけど恋に対してはポンコツ
 薬膳さんは薬に対してこだわり持ちすぎてそっち以外はかなりポンコツ
 という感じでどっちも結構ポンコツでいいです。特に薬膳さんは薬製作能力が高いけどそれ以外の知能面がマジポンコツというのが堪りませんでした。こいつ博士系キャラの癖に頭悪いぞ!?
 さておき。
 しかし、この2巻で最後にでかい弾がぶっこまれます。あまりにびっくりしてしまいましたが、どうしてそんなことに、というのは3巻で解決するんだろうなあ、という感じ。
 ここの2巻から3巻への引きとしてはパーフェクトでした。地味にこういう巻またぎをきっちり引きつつ、というのが出来るのはちゃんとしたネーム力の証です。ちゃんとここで話が区切りとしてインパクトが残る、というのを巻単位で出来ている訳ですから。
 更にその後のおまけページでその余韻をメタメタに破壊してくるので、完全にこの漫画はネーム力が高すぎるのが伺えます。そこまで計算されているのか! 計算されてこの狂気なのか! すっげえ! すっげぇすげぇ!(語彙と知力が)
 という感じで、2巻の段階でこの漫画の力量がきっちりしたもので、適当にやっているのではない、というのが理解出来たので、もうこの漫画にはついていくぞお! となりました。早々に3巻を読みます。
 ということを書いて今回はこの辺りで。したらな!