小箱とたんの異端性と四コマ漫画

異端性、ってもなあ。
まあ、言ってしまえば「四コマ漫画はギャグをやるものである」っていう基本があるじゃないですか。 「最低でも笑いを取らないと」みたいな。*1
スケッチブックが異端なのは、一つが「生活臭が強い」。 鳥飼さんの小市民ネタなんて、もう香り立つ位の生活臭ですし。*2 すごい普通なんですね。 新聞の四コマでもしないような生活感全開のネタ。 それが逆に異端だと。
それから、動植物ネタ。 これは詳しすぎる。 作者がナチュラルに詳しくないと出てこないようなネタが頻出するのはやっぱり異端だと。 猫も好きすぎます、小箱とたん。 じゃないとあんなに優れた猫描写は出来ないですよ。 出張版の「来るなー!」の時のポーズ辺りから猫を良く見てるのが分かります。
あー、後は、道化役に相当する空閑先輩と涼風コンビですね。
空閑先輩はいいんですよ。 意図的に変であろうとしてる雰囲気だし、実際そのとおりだし。 ちょっとずれが大きいがしますけどね。
問題は涼風コンビ。 こいつら何考えてんでしょうね。 基本は愉快犯なんですけど、なにが愉快なのか分からない。 『「私は川派」 「私も」』、とか、どうすりゃいいんだよ。*3
えと、ここまでは、ネタ部分の異端性です。 次は「四コマ漫画」としての異端性ですね。
これは、もうお手元に「あずまんが大王」でも「トリコロ*4でも「まろまゆ」でもいいからもってきて見比べていただきたい。
そうすると良く見えてくるんですが、「スケッチブック」はそれらと比べて何か変なんですね。では、何が変か。
それは俗に言う「起→承→転→結」が著しくばらついてる事なんです。 他の四コマ漫画はたまには「起→承→間→転結」とか「起→承→起転→結」(ニコマの繰り返し)とかがあります。 でもあくまで「たまに」です。
その点において、「スケッチブック」は全く安定しません。 「起承転結」という形がすごくばらつきます。 だから、他の四コマ漫画にあるような通奏低音としての「起承転結」のリズムが無いんです。 「起承転→承→転→承→転→また来月」とか。「起結結結」とか変則的なものが頻出するのです。
これが読んでいて違和感を感じる要因の一つなんです。
他には…、無理に上げるなら、小箱とたんと我々とでは「ギャグ」という言葉にすごい温度差があるんじゃないか? という疑問が浮上します。 気のせいかもしれないんですけど。
以上、なぜなに「スケッチブック」でした。

*1:水島孝之がいってたんだっけか?

*2:私が一番好きなのは「高い野菜の値段を夢に見るネタ」

*3:関係ありませんが、田辺涼氷室風とでは実は氷室風の方がイニシアチブを握っています。 ネタフリは田辺涼の方が多いんで勘違いしやすいですけれど。 だからどうした

*4:また関係ないですが、「トリコロ」はギャグとして一柱でもなりたつし、そのままストーリーギャグでもあり、しかも小ネタも満載と全くの麒麟児なんですが、それだけするとやっぱり疲れるよなー、あずまんがもかなりその辺は手を意識的に抜いてたなー、とか。<追記>休筆してるのか…。あれだけトーン使ってたら時間きつきつだったのだろうなあ