感想 成田良悟『バッカーノ! 1934 娑婆編 Alice In Jalis』

 内容を要約すると「シカゴの場合は口やかましい」
 さあ後編だ、と思ったら違うんかい! の「1934」二冊目です。*1
 今回は新キャラ連打の展開ですが、実際に話に深くかかわるのはクリストファー(1933)、グラハム(1931回想編)、キャロル(1931回想編)それと新キャラのレイル君の4人なので、それ以外は取り立てて気にする必要は無い構成にはなっています。
 なっていますか?
 まあ、それはおいてきます。
 全体のトーンはレイル君受難変。だいぶひどい目にあいます。
 そしてレイル君は成田良悟作品の中では珍しく「世をひね→壊」という段階を踏んでいくわけですが、それをどうにかしようともしないクリストファーがたまらなくいい。普通なら必死になって壊れないようなんとかしようという状況で、なんともしないわけですよ。素晴らしい。こういう所が私が成田良悟さんにL・O・V・E! している所なのですけれど、皆さんはいかがですか。
 いかがですかじゃないですね。
 えー。
 で、トーンははっきりしているわりには全体的になんだかくどくどしている感があるのですが、それは『詩人』、グラハム、副社長の三人の語りがくどくどしている事に起因します。特に『詩人』の語りは読まなくてもまるっきし支障がないような事な為、出て来る度にかなりくどくどしいので辟易させられます。まあそういうキャラなんですけど。
 さておき。
 今回でまたしても色々な複線というかキャラの前フリがあったわけですが、まさか斬九郎が田九郎の間違いではく田九郎の兄弟設定になってしまうとは思いませんでした。これ最初から考えていたんでしょうか。謎です。
 謎といえばルネさん。描写からして以下反転。
 不死の酒で不死者になった人であることは間違いなさそうですが、どうにもマイザー達のグループとは違う感じ。こんなタイプがいたら今まで話に出てきそうだし。となるとマイザー達とは違うタイミングで不死者になった、と考えらますがじゃあなんで不死の酒の造り方を研究してんだろう? 自分が飲んだやつを調べればいいんじゃあ? 謎です。
 謎です。
 さらに謎といえば、「何故フィーロが?」という謎が監獄編にあったわけですが、またしても軽くうっちゃられましたね。引っ張るもんだと思っていただけにどうしようかと思いました。引っ張るもんでもないという判断でしょうか。今回は今回でちゃんと引っ張ったし。

*1:前編だとおもったら違ったのはこちら