感想 川崎康弘 『ありすとBOBO2 ―下町決戦兵器マスラオ―』

 大体の内容。『零細工場大爆発!』。これで大体あってるから困る。
 ということで*1、『ありすとBOBO』、強襲の2巻目です。今年頭に一巻目が出て、今年前半に二冊目が出る、というのは全く予想だにしておりませんでしたので、このあまりの刊行の速さに次元の歪みとかが生まれてる可能性や、「ここは不思議時空か?不思議時空なんだな?不思議時空では僕は3倍不思議になるのだ!不思議な事に!」 という言葉などを思い出し、軽く錯乱して狂喜乱舞したのもいい思い出です。そんなにおぞける事か、と言われる向きもありましょうが、著者紹介で著者も言ってらっしゃるように、二年に一冊出れば御の字なのが川崎康弘さんの著作なわけでして、それがここで半年も経たずに畳み込まれるように来る、なんて事態を想定できる読者は、たぶん神所謂GODですよ。
 さておき。
 内容の方も強襲というのがキーポイントでして、零細企業が寄り集まって開発した人型下町決戦兵器益荒男を、アメリカの遺伝子兵器おっさん二人がなんとなく成り行きで強襲する、というのが大体の筋であります。その中にアリスがなんとなく関わっていったり、なんか素晴らしくあっさり片付けられる自衛隊がいたりする辺りの相変わらずのなし崩し感は、まさしくお美事の一言です。ごってりした設定を開陳する前に違うレーベルに移り変わっていく人ならではの、さっぱりとした無茶さと詰め込み具合が、そのなし崩しと合わさってスピード感に転じてさえいます。この辺りのずるりとした滑りのあるスピード、というのは他で味わえないから、川崎康弘ファンは止められん。最後の爆発オチなんてそうきたか!って膝を打って呵呵大笑するレベルでしたよ。
 さておき。
 キャラ的な話をすると、なんかアリスが可愛い服装をするようになったのはてこ入れですか、ちょっと分かりやすい萌えキャラ投入ですか。と、訓練されすぎてスレた川崎康弘ファンらしい一家言が出てきますが、そんな姿でもわりとやる事は相変わらずなアリスさんに、頼もしいやら何か間違ってる気がするやらでもありました。しかし、それ以上にこの話の最大のファクター、ボーボーがちょっと可愛らしい所ばかり見せていた方が気に掛かります。GAでの一冊目である前巻でアリスの出番食いすぎてしまった反動なんだろう、とまたスレたファンらしい憶測も飛び交いますが、でも美味しいところは取っていくんだからボーボーはすげえなぁ、となんか感嘆すら飛び出してしまうオチ部分は、まあ見たい人だけ見るといいです。

*1:どういうことだ