感想 三上小又 『ゆゆ式 3』

ゆゆ式 (3) (まんがタイムKRコミックス)

ゆゆ式 (3) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「女子高生は大体が初耳」。節子! それ『天然あるみにゅーむ!』二巻のキャッチコピーやないか! でも、このキャッチは『ゆゆ式』向きというか、一応ゆずこ達の部活が、知らない事を検索していこうってやつなので、ぴったりだと思うんですよ。問題があるなら、その部活するのが全然メインじゃなく、日々をただゆるーく過ごしていくのが中心だってことだけだって事ですが。
 じゃあこの漫画の、内容だぁ……話だぁ……いったいなんのリストだよてめーーっ!
 と、いきなりいきり立つくらいに『ゆゆ式』に“話”といえる広大迂遠な物はありません。あるのはただゆるやかな“流れ”があるだけです。そこで、三人娘がただぼんやりと、時には百合いく、一日、一時を過ごしていく。それこそ『ゆゆ式』なのです! としたり顔で言ってみますが、まあホント、特にストーリー展開というか、積み重ねていくものというのが極小な漫画ではあります。三人娘は初手から仲が良く、三巻経った今でもその仲の良さは特に変革もうねりもせず、そのままといえる関係を続けています。その関係性のゆるさ、そして揺ぎ無さこそ『ゆゆ式』が『ゆゆ式』である所以なのであります。たぶん。
 とは言っても、そんなのだけで延々と回せるほど“流れ”という物はゆるいものではありません。話よりゆるそうに見え、実際ゆるやかな“流れ”ですが、そのゆるさでも、まったくノーパワーでは流せないのであります。“流れ”を維持するもの、あるいは新たに駆動系を作って“流れ”に変化をつけるものが必要なのです。という事で、なのはたぶん違うんですが、今回は相川さん周りの人が大分出て、新たな駆動系としての存在感を見せ付けてくれます。
 あえて口にすると長谷川さん可愛いですね。なんとも掴み所がおかしいのが素晴らしい。オカチーの分かりやすさ、相川さんの分かりやすさ、あるいはメイン三人の分かりにくさに比べて、一人だけどちらの成分もたぶんに含んでてずれがあるんですが、ゆえに相川さん達と仲がいいのかもしれない、という思いをこちらに勝手に励起してくれるいいキャラをしていて可愛いです。そのメインの三人娘とも違う不可思議さは、分かりやすい外部、という駆動系としては素直な相川さんとオカチーに比べるとかなりのトリッキーさですが、ゆえに“流れ”に貢献する部分もあるのかもしれません。この巻最後の一本での「じゃあ、みんな来い」という雄雄しさと可愛らしさの同居は、確かにメイン三人娘には出来ない駆動なので、この漫画の“流れ”の広さ、幅に今後も貢献していただきたい。そしてこのゆるやかな流れを末永く見せていただきたい。そう思ってやまないのでありました。
 最後にキャラ的な話をすると、この漫画の良さを享受していくと、だんだん《相川さん>唯>オカチー>縁>ふみ>ゆずこ》という風にキャラを愛でていけるようになる、という気がします。右に行けば行くほど高難度なわけですが、ゆえにそのキャラが愛でれれば、この漫画に浴している、と言えるのではなかろうか。と、言ってる自分はまだ長谷川さんまでですが。ゆずこはやっぱりまだ難度高くて登頂が厳しいと言うか。一番トリッキーだからなあ。でも、唯の可愛さを引き出すのはいつだってゆずこなので、そういう意味ではここを乗り越えれれば、『ゆゆ式』を制覇したも同然ではあり、ゆえに向かっていきたい壁ではありますが。まあ、そこまで無理して制覇しなくてもいいんですけどね!