感想 ハトポポコ 『平成生まれ 1』

平成生まれ (1) (まんがタイムKRコミックス)

平成生まれ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「時は平成。平成の時代」。つまり、どういうことだってばよ! と言われる大変お答えに苦慮するんですが、出てくる女生徒皆がコミュニケーションというかディスコミュニケーションというか、特に体当たりでなく平素平静に、でもなんかズレズレている。SNKG(そんな感じ)の漫画、それが『平成生まれ』なのです!
 もう少し意味が通るように言うならば、簡略気味ながらも可愛いとも言えなくはないような気配が微粒子レベルで存在している女の子が、ある時はスルー、ある時は実力行使、ある時は無言、ある時は饒舌、ある時はバカ、ある時はやっぱりバカ、等々を駆使してだからどうしたという事を延々とやっている、そういう漫画ではないかと思います。萌え4コマなんて基本だからどうしただろう、という面構えすら伺えるような気もしますが、たぶん気のせいです。
 この漫画は大体三チームに分けられて、メイン格と言える気がしないでもない程度にはよく出るけど仲がいいとはお世辞にも言えない佐藤四村組、片方の謎っぷりに片方が踊らされる原田中川組、バカとバカの織り成すバカワールド満点の藤井吉村組、この三つです。
 よく出る佐藤四村組は仲がいいのか悪いのか良く分からないけどまあ断絶する程までには仲が良くも悪くも無いと言った方がいい組み合わせで、大体佐藤がボケて四村が放置、無視、スルー、突っ込むなどのテクを駆使する組で、一番この漫画らしいと言い得るゆるゆるを越えてあんまり身なんて無いですよ2012をしてきます。まあ大体の場合、佐藤のボケと言うかツッコミ所がどうにもツッコミにくいと言うか単に面倒臭いだけな事が多いゆえの身の無さなわけですが、それでもそれがスルーされると不思議なもんでくすぐりを食らうようにクスリと出来たり。イラッも含みつつ、そしてイラッとするゆえにそれがインガオーホーとして機能している、とでも言いましょうか。というかなんで佐藤は四村にあんなに関わろうとするのか。そして四村も邪険にしてるけど嫌いと言うわけではないっぽい。でも仲がいいようにはあまり見えない。そういう不思議な関係は確かになんとも味わい深く感じる気もしないでもない要素が微粒子レベル(略)。
 原田中川組は謎の原田さんに良いように玩弄される中川さん、というのを基礎地として、それ以上に発展する事は特に無い、という原田さんの謎めいた行動、言動が主軸の組。その謎原田さんに普通な中川さんが時に無様に弄ばれ、時に無体に敗北を晒し、時に原田さんかっけー!したりする、そんな組み合わせです。この二人も仲が良いのが良く分からないと言うか、中川さん逃げてー! とすら言える組み合わせです。とにかく原田さん良く分からない。萌え4コマの良く分からない枠に新たなキャラがエントリーだ!と言えるなかなかの良く分からなさ。いいなあ、分からないって!
 藤井吉村組はこの巻後半での加入ですが、とにかく藤井が美人オーラ持ちなのにひたすらただのバカ、吉村もバカだけど藤井のバカさの前では霞むレベルで、藤井がただのバカです。この二人のやりとりはほとんどドリフのいかりや仲本のバカ兄弟レベルで、何時こいつらがあんちゃあんちゃん言い出すか、と何故かハラハラしてしまうレベルでただのバカです。バカすぎてバカヤバイです。こいつらこれから生きていけるのかレベルでバカです。これだけのバカキャラを、絵的には端整に描く精神もバカです。褒め言葉的にも貶し言葉的にもバカです。でもそんなバカっぷり、嫌いじゃないぜ?
 さておき。
 こうした三組がターンターンで変わりばんこにネタするのがこの漫画の基礎で、しかしあんまりこの三組は交じり合いません。たまにニアミスレベルの交錯はありますが、大体同じ組のままです。これをそうそう交錯しないよねリアルと取るか、ネタにするの面倒なのかな手抜きと取るか、まだ私は変身を二回残していますな今後の為の出し惜しみと取るかは人それぞれでありましょう。自分交錯したら大変な事になったぞ…。ってなりそうで怖いです。この微妙な間柄がガラガラとしてしまうのではないか、とか。うーん、でも見てみたいかも。
 とかなんとか。カバーのあとがき部分、正直怖いですよね…。文字詰めすぎですよね…。それでも読めるようにしてるデザイン、タツジン!