感想 押切蓮介 『ハイスコアガール 2』

 大体の内容。「行くぜ! 中学生時代!」。そんなわけで、大野さんが彼方に去ってから3年。矢口君はそれでも世相と関係なくゲーセンに行き、格ゲーをもりもりする学生へと成長しました。成長? という疑問にはスルーしていきますよー。いいじゃん、格ゲーとかから卒業しないのだって。男の子だもん。そんな男の子な矢口君に、リア充の魔の手(魔の手?)として日高さんの手が伸び、そこから更に帰って来た大野さんが合わさって、あれ? これ三角関係じゃね? という事態が発生する。それが『ハイスコアガール』2巻なのです!
 さておき。
 今回のガールは日高さん。特にゲームと関わり合いのある生活をしてなかった日高さんですが、個人商店の娘で、家の前にMVS筐体を設置する辺りから矢口君と接点を持ち、その放漫な生き方になんだかもやもやしている内に、あれ、あたし恋してね? という形に。そしてそこに1巻のメインヒロインである大野さんが遠地から帰還して、で、次の巻へとこの話はもつれ込みます。あれ、ラブコメじゃねえか! と驚嘆するのはするのですが、矢口君は今回もゲームバカのまま推移しており、日高さんのラブの所になんか全く気がついてないという駄目さ加減。そこがまた、ゲームバカらしくて素晴らしく完成度が高いんですが、高すぎるせいで色々後で困る事になるんだろうなあ、とも。バカじゃない矢口君はそれはそれで嫌だし、そうでないとラブってもコメれないんだからしゃーないわな! という嫌な見方も可能ですが、しかし、それを上回るぶれないゲームバカっぷりなので、こいつなら仕方ない、という見方もまた、可能だったりする辺りがにくい。そういうキャラ勝ちですな!
 さておき。
 もう一人の、ある意味大ボスである大野さんも途中で帰還されます。そしてゲーセンに降臨。スパ2Xのザンギで104連勝という悪魔的所業を見せ付けます。矢口君もガイルで20連勝するとかかなりの腕前をするまでに成長はしたんですが、ここまでの超絶の腕前に成長した大野さんに対して、これで戦えるのか!? と絶望してしまったりも。今ほど格ゲーが煮詰まってる時期でもない、というのもあるんですが、それでも大野さん凄すぎます。遠地でスパ2Xがあったかも不明な状況なのに、この成長具合。それも飛ばせて落とすじゃなくて、ザンギ。どれだけのやり込みがこの腕前を生み出しているのか。想像を絶します。まさに悪魔的所業。
 しかし、そんな大野さんは矢口君との対戦を拒否して、筐体から姿を消し、ファイナルファイトへ。この辺りの気持ちというのが大変もやもやするというか、悩ましい想いがあるのだろうなあ、というのと、それ以前にお前女といたな? という大野さんの恨み節もあったのではと邪推してしまいます。まあ、大野さんは女といたな? とか考えるタイプでもない気がしますが、ファイナルファイトでの矢口君への当たり方はストレスを大発散しようという心持ちが見えるプレイでありまして、案外そういう気持ちがあったのかもなあ、と仄かに思ったりも。この辺りが日高さんと激突する日は3巻以降か…。どうなってしまうんだろうか…。
 さておき。
 アケゲーも移り変わっていくのが、この漫画を見ていて懐かしい物として立ち上がってきます。餓狼スペとかサムスピとか超懐かしい。その頃ぐらいからゲーセンとかMVS筐体とかある場所に行くと言う行動様式がインプットされたので、そういう時代あったよなあ、と思ってしまいます。まだガチャ入力でダメージが上がる投げとかあった時代というのも、本当に懐かしい。今じゃ、投げは定ダメージって決まってるからなあ。対戦ツールとしては正しい方向ですが、たまにはそういうのがある懐かしいゲームも欲しい、とか思うのは贅沢なんでしょうね。
 とかなんとか。