感想 榛名まお 『こずみっしょん!』1巻

こずみっしょん! (1) (まんがタイムKRコミックス)

こずみっしょん! (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容。「初めての友達は宇宙人!?」。ぱっと見て帯の「すべてのSF漫画は道を譲れ!」という超絶の謳い文句には度肝を抜かれると思いますが、これは「SF漫画としてはよちよち歩きなので道譲ってくれないと泣くぞこの野郎」という意味合いで取っていいと思います。挑発するつもりは無いんです! 本当はいい子なんです! と突如の過保護を発してしまいたくなる所ですよ。
 そんな事はさておき。
 大体どういう漫画かと言うと、高校まで友達0だった鈴子さん。ひょんな事からクラスメートの臣美さんの秘密を知ってしまいます。その秘密。それは臣美さんが宇宙人だったのです! そこから始まる純で不純な異星交遊! そこに不解部の面々も加わって、果たして鈴子さんと臣美さんの未来はどっちだ! とまあ、言ってしまえばぱっと見以外は案外JKが楽しくて楽しい! というきららフォーマットめいている作品だったりするわけであります。そこに友達以上も何も友達が分かってない鈴子さんが、それゆえに臣美さんへの思慕を燃やし募らせていくというきららMAXの社風が加わって、なんだか最強に見える。それが『こずみっしょん!』なのです!
 書いてて気付きましたが、鈴子さんの臣美さんに対する態度って友達の域から絶妙にはみ出ているわけですが、それはやっぱり今まで友達がいなかったせいで友達との距離感が分かってない部分、っていうのがあるんではないかと思います。というか、そうでも理由付けないと一気に百合方向に傾き過ぎな事に納得がいきません! 社風か、社風なのか!? そんな慄きなどもあったりも。鈴子さんが一気に傾き過ぎなんや…。
 さておき。
 臣美ちゃんが実際宇宙人なのか、というのを鈴子さんは案外考えてなかった辺りの、読者と鈴子さんとの温度差というのが中々楽しかったです。ワタクシなどは読み手として「そういうのはありだよね」という慣れから速攻で臣美さんを宇宙人認定してましたが、良く考えると鈴子さんの対応、ちょっと痛い子だから同士!みたいな方向のが正しい判定だよなあ、と。なんでこんなにあっさり痛い子ではなく本当に宇宙人だと考えてしまったんだろう、とすら思ったり。この辺の読者側の慣れを逆手に取っていた、と見れる様な気がして、榛名まお、恐るべし! とか思ったりも。勘違いですね、分かります。
 さておき。
 キャラ的な話をすると、ハナ子さんがなにやら含むもの、あるいは秘めているものがある雰囲気を出しつつ、しかしバカをする奈央さんに対する好ツッコミで不思議解明部を回している辺りが素晴らしいなあ、と。黒みつあみで眼鏡ですしね! 後、腐れ縁以外に、まだ何かありそう。というか、奈央さんは意外と不思議に衝突するオートスキルがあるようで、それに対して何も無い、何も無い、とするハナ子さんは一体何と戦っているんだろう、とすら思います。奈央さんが知ったらまずい事態になるのだろうか。そしてハナ子さん固有の問題とは、というのは特に中心にはならない漫画ではありますが、いつか解明される謎だったらいいなあ、とか思います。本当に謎めいてるよなあ。
 とかなんとか。