感想 宇崎うそ 『ななどなどなど』1巻

ななどなどなど (1) (まんがタイムKRコミックス)
ななどなどなど (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「こーまちこまち陰キャ姫!」。とあるお嬢様な玉村小町さん。彼女は不登校陰キャをこじらせ、学校では陰キャ姫と呼ばれておりました。金持ちだし、学校行かんでもええわ! となっていた彼女のもとに現れたのが、ヒューマノイドの7D-O型、命名ななど。目からビームも放てる彼女によって、小町さんは渋々学校に行くようになるのですが……。という女の子わちゃわちゃ型学園もの。それが『ななどなどなど』なのです。
 小町さんのとこにななどさんがやってきて、その陽キャ力で学校に小町さんが馴染んでいく話ですが、小町さんが陰キャをこじらせているのと、お金持ちムーブするのが混ざり合って、なんだかすごく面倒臭い展開をするのが、この漫画であります。小町さんが拗らせすぎて、友達になってくれそうなるるさんに対して「友達料はいくら欲しいんですの!?」とか発言してしまったりするのです。クソ面倒臭いなこいつ!
 しかし、そこは潤滑油としてのななどさんの出番です。基本的に物怖じしない鉄のメンタルを持つななどさんの存在が、この漫画が変なところで停滞しないようにしています。基本的に小町さんは陰キャ姫だし、友達になったるるさんもオタ系陰キャな部分があるし、更にるるさんをゲットしたいという欲得で友達になっている萌さんのヤバイとこがちょくちょく出るので、ここで潤滑油が無いと回らないというか擦り切れて壊れるレベルなので、ななどさんは偉大です。ただ、ななどさんも製作者の意図しない性癖として脇を見せたい、脇が見せられないのは嫌、というのが植わっており、これがまた何かで発露しそうなんですが、それはさておき、そういう四人がわちゃわちゃするのが、『ななどなどなど』の基礎パターンです。
 ですが、この基礎パターンを色んなことで動かしてくるのもこの漫画の良い所である、わちゃわちゃが濃くなるところです。一度、小町さんだけで学校に行くパターンになることがあるんですが、なんのかんの学校に行くようにはなっている、というのが提示されつつ、やっぱり皆がいないときついよー。とほほー。となる辺りが揺ぎ無い陰キャぶりです。
 しかし、その話で、萌さんの友達の優子さんと小町さんがちょっと仲良く、という展開から、それをるるさんが知ってちょっとしたジェラシーしたりするのです。人間関係のわちゃわちゃが濃くなる! こういうところがこの漫画の良いところと言えるでしょう。
 しかし、やや繰り返しになりますが、小町さん含め、皆結構面倒臭いのです。小町さんは言うに及ばず、可愛い系るるさんもゲーオタとしての側面が出ると意外と対抗心が出て来たり、萌さんはるるさん強火ファン過ぎて裏表がやたら激しいし、潤滑油ななどさんは偶に機能がぶっ壊れれるし、と、単純に仲が良くなってわちゃわちゃいくというきらら系ロールモデルとは一線を画しています。それでも紆余曲折を経て仲良くなっていく、という形としてはベターともいえるもの。あるいは、新世紀きらら標準と言えるかもしれません。
 さておき。
 好きな回の話をすると、やはりななどさんの言語機能が壊れる回が、キャラクターの良さとわちゃわちゃが良い感じに組み入れられて、大変面白い回となっています。ななどさんがバージョンアップしたら、あるワードをきっかけに言語が切り替わってしまう、というななどさんがヒューマノイドだというのがちゃんと活かされた話でもありますが、そこでどうするか、となったらとりあえずそのワードを言いまくれば、という原始的な方法で、それでやった、日本語になった! からのー。が最高でした。るるさん可哀ス……。試行回数453回のガチャが一撃で無かったことにされて……。というのが一周回って楽しかったです。
 そんな感じで、女の子わちゃわちゃ漫画の新時代。それが『ななどなどなど』なのです。