開幕
皆さん、知っていますか！ 現在のきらら4コマにおける三傑を！
と、黒岩都知事（『超光戦士シャンゼリオン』）の顔で開幕します。
何を？ ”きらら女の子わちゃわちゃ4コマの世界2023"です。なんですよ。
というのは流石に置いてけぼり感あるのでちゃちゃっと説明しますが、きらら4コマ誌で今もっとも女の子わちゃわちゃな漫画三つを紹介しようという腹積もりです。それも巻数がまだそこまで増えていないけど、これは今後くるぞ……。というやつです。いきなりで迷惑かもしれませんが、思いついちゃったから……。
というのはさておき、そも女の子わちゃわちゃな漫画ってなんだよ、と諸賢に置かれましては思っていらっしゃるかもしれません。
これも単純に女の子が出てわちゃわちゃする漫画、というくくりです。だからわちゃわちゃってなんだよ！ ですがこれはきららの直系の土鬼、あずまきよひこ『あずまんが大王』が最も分かりやすい例でしょう。ああいう感じです。ああいう感じの漫画です。わかるな？（圧）
さておき、その三傑を今決めますが、今回の三傑は完全に自分の趣味で三傑としているので、異論は超新星爆発レベルの噴出はされると思います。それならそれで自分でこれだ！ としていただけると助かります。個人的に他人の意見をカカッと拝聴したいのです。新鮮なきららオタを求めているのです。基本自己完結するので、偶には違う空気も浴びたいのだ！
ということで、カカッと基礎部分を終わらせて、きらら女の子わちゃわちゃ4コマ三傑について語っていきたいと思います。
一作目 宇崎うそ『ななどなどなど』
『ななどなどなど』とは！ 陰キャし過ぎて陰キャ姫呼ばわりされる小町さん家に、ヒューマノイドななどがやってきた！ からスタートする女の子わちゃわちゃ4コマです。まんがタイムきららMAXで連載中です。3巻まで単行本が出ています。
この漫画のわちゃわちゃポイントは結構多岐にわたります。小町さんの陰キャ具合と金持ちが組み合わさって成程、陰キャ姫。と納得する所作とか、ヒューマノイドだけどそれにしては色々ぶっ飛んでるななどさんの所業とか、吉岡さんの陰キャ可愛いとか、ありますが、個人的には吉岡さん厄介オタ高山萌の所業がこの漫画のわちゃわちゃ具合に一筋の流星夜を切り裂いてです。
基本的に小町さん、ななど、吉岡さん、高山萌の4人がこの漫画のベースわちゃわちゃ女の子ですが、その中に凶度の吉岡さん勢である高山萌が投入されるという魔技こそ、この漫画の真骨頂。それがゆえに他の女の子わちゃわちゃ4コマにない味わいを出しています。
この高山萌、狂度の吉岡さん勢という大体の漫画のバランスブレーカーになりえる存在ですが、本人の高いコミュ力と陽キャ力、そして自制心によって吉岡さん厄介オタながら厄介を見せないテクニックをしています。友達がまさか自分厄介オタとは吉岡さんも思わないのもありますが、それ以上に高山萌の高いスキルがそこを悟られないようにしています。
しかし、高山萌も人の子。偶にその自制心にほころびが生まれます。んですが、そこをすんでのところでコミュ力と陽キャ力でカバーします。それにそもそも吉岡さんの前ではその側面だけは絶対に見せない。出すのは、小町さんやななど、あるいは信頼する他の友達の前だけです。それも、かなりその域を薄くして。薄くしても、例えば3巻の裏表紙の4コマでの小町さんに対して「吉岡さんの毛がついてるよ」レベルの「毛がついてるよ？」な発言をしてしまったりしますが、それでもこいつ、なんだ？ という感じでちょっとした違和感だけにする動きで済まさせます。
この辺の、吉岡さん厄介オタをそれとなしに出すとこが、高山萌の厄介さです。自分の厄介さが如何に厄介化が分かっているので、今の高陽キャスペックを維持することでそれが分からないように迷彩をかける。
それでいて、吉岡さんの近くにいられることは大変喜ばしいこととしているし、だからこそ厄介オタの部分を押し隠している。表には出さない、ようにはするけど、少し油断が出来る間柄ならそっと漏らす。
この匙加減が出来るからこそ、高山萌という危険人物がメインにいても、人間関係が爆発したりしない。でも、火種としては常にそばにある、というハラハラさが、この漫画のベタな女の子わちゃわちゃから逸脱しているところと言えます。というか、大概にしろ高山萌。
そういう訳で、爆弾を抱えつつ、爆発はしないだろう、と予断は出来るけどいきなり炸裂したら、と思わせる漫画が『ななどなどなど』となっています。現在省エネルギー運転というか、なんかページ数少ない状況で推移しており、なんかあったか宇崎先生。という感じですが、それでも上手く小ネタを消化している辺りはやはり卓抜。もうちょっと連載長く続いてほしいレベルであります。
二作目 こかむも 『ぬるめた』
くるみちゃんノーフューチャー。と言う分かる人がそういないジョークはさておき。『ぬるめた』はまんがタイムきららMAX連載中の作品で、ちあき、さきな、くるみ、しゆきのの4人娘を中心に、くるみちゃんのガイノイドなとこを見せるのを基本としつつ女の子がわちゃわちゃする4コマ漫画となっています。これの記述現在では3巻まで出ています。
なんか科学の子がいる点は前掲『ななどなどなど』とかぶってる感じに見えるかもですが、こちらはおもにガイノイドのくるみちゃんを改造して変なことをさせる、というのを軸にしつつ、徐々にオフビートなテンションでお送りされる漫画へと変貌していっています。
特に作品のテンポが巧みで、オフビートなところがありつつも、正調なギャグ漫画にも、ダウナーな展開にも派生出来るタクミナテクニックを魅せます。基本的には女の子わちゃわちゃだけど、そこに色んな調子をかますことで、常に新鮮なアトモスフィアを注ぎ込んでいます。
そこはそれとして、個人的にはオフビートな日常の話に偶にあるちあき、さきなの過去話がすこぶる好物です。そこが先に言ったダウナーというか、ローテンションなとこでいつもと違って堪らんですわ！ な好物なのです。まあ、今んとこしっかり過去のネタしたのが一回くらいしかないので、その一回の残滓を追い求めているというのが妥当なのですが……。
さておき。
この漫画の見所は、やはり女の子わちゃわちゃですが、そこがくるみちゃんの改造ネタを主として使われる為に結構異常な状況が続くところでしょう。また個人的な話ですが、クーラーが壊れた！ からのくるみちゃんをクーラーに改造しよう！ の回の泥縄＆本末転倒具合が最高でした。クーラーに改造することに意識が行き過ぎて、そもクーラー直せばいいという地点を忘却して暴走し、排熱どうすんねん！ とかで喧々諤々だったのが最高でした。排熱をどうかわすか、ってなってたのが特に。違うだろ。
そういう風に、くるみちゃんの改造ネタは鉄板でありつつ、だいぶ長期連載になってきたので他の子たちの話を掘り下げ始めてもいて、そこでまた過去ネタやってくれねえかなあ。とか私だけが思ってしまう、展開が多岐に分かれる作品となっています。刊行巻も3巻を越えてきましたので、どこまで長く続くか。その意味では今が正念場と言う気もします。ここを越えると結構な長期連載に行けると思うので、皆さんも積極的ドネートだ。
三作目 肉丸 『ばっどがーる』
三傑最後は『ばっどがーる』。まんがタイムきららキャラット連載中の作品です。2巻まで出ています。
内容としては、遠目からお慕いする人に見初められる為、不良になると宣言したいい子の優谷優さんが、そうすることでそのお慕いする相手、水鳥亜鳥さんになんか気に入られて、というこれだけ聞くと百合漫画かな？ ですが、優さんの不良仕草が普通にガバガバ、ピアス開ける度胸がないのでクリップだったりするレベルなのと、亜鳥さんがこの子変な子だな？ なのが合わさって、なんでこれで急接近になったんだ？ と疑問になりつつも、出てくる子たちがわちゃわちゃしていく、という作品となっています。
この漫画の構造として、水島亜鳥に対する厄介オタが多すぎるけど、誰もがそれを気づいてもらえない、という亜鳥さんのそしらぬムーブが決まりに決まる形になっています。亜鳥さんの基礎ムーブが親しくなると急に距離が近いというのがあり、それで優さんは過剰な推し供給で過呼吸になるというのが鉄板のネタです。
また、実の妹であり、また水鳥亜鳥ガチ厄介勢でもある水鳥水花さんに対しても、肉親のそれがあるにしても過剰なファンサをしており、水花さん登場からこっち彼女がやばい顔してなかった時がないレベルで芳醇なファンサを食らっています。あの子は今まで生きてて色々大丈夫だったのか？
そういうギャグ的な要素も、わちゃわちゃ系なので多いですが、意外と人間関係の線は美しく決まっています。優谷優ガチ勢の涼風涼さんの、でもなんか亜鳥さんとも親密になっていて、という部分の自然な積み重ねとかはマジ見事案件で、優さんと親密になる過程で自然と、というのが出来ているのです。
また、るーさんこと瑠璃葉るらさんの、優さんとの仲、るーさん的には親しくなっていくんだけど優さんはそうでもない、というのが綺麗な線です。優さんはそこまで親しい気持ちがあるかというと知ってる人レベルっぽいので、出会う度にるーさん側の好感度が勝手に上がっているという、中々面白い稜線です。いい方向にも悪い方向にも振れられる、妙味があります。
関係性の線の良さがありつつ、わちゃわちゃもしっかり。そういう漫画が『ばっどがーる』なのです。
