ネタバレ?感想 春日沙生 『おねロリキャバクラ』1巻

おねロリキャバクラ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
おねロリキャバクラ 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「おねロリでキャバクラ!」。楓さんはとある会社のOL。今日も仕事でくたびれて、でもお昼ご飯も上手く食えそうにない。いっそ外に行ってみては? と昼の街に降り立った楓さんが妙な客引きの言われるがままについていった先。それがロリキャバクラ! そのトップロリキャバ嬢であるりんちゃんさんに見初めてしまった楓さんは果たして今度どうなるのか。それが『おねロリキャバクラ』の大体の内容です。
 人の心にはあるものでしか補充出来ない部分がある。楓さんにとってそれがロリキャバクラのりんちゃんさんだった、という話な訳ですがそもそも待てよ、ロリキャバクラってなんだよ! ってなると思います。
 私もそう思います。
 ですが、この漫画ではロリキャバクラの色んな問題点はガン無視でロリキャバクラは、あります! とガンギマリ顔してくるんでどうしようもありません。一応昼だけ限定の仕事らしいんですが、そのバックボーンを含めロリキャバクラがあることに対する社会的な理論が特に語られないというかそもそもなさそう、まあ、あったらあったでそれはそれである意味怖いんですが、とにかくロリキャバクラは出来る! 出来るのだ! してくる所作がとにかく頭おかしい漫画。それが『おねロリキャバクラ』となります。
 とはいえ、そういう背後関係はあまり気にしなくていいのでご安心ください。基本はお姉さんがロリに癒される漫画です。楓さんがりんちゃんさんに癒されていく、というのをじりじりと魅せていくのです。おねロリが好きすぎることで有名な春日沙生先生なので、とりあえず前提条件だけは軽く投げておいて、あとはおねロリでお願いします。という風情となっています。
 そういう意味で、おねロリのパワーをこの漫画で大々的に見せつけられます。おねロリに対する偏見みたいなのをガン処理してきます。
 ただ、この漫画おねロリですが、ロリの方が優位のおねロリです。そしてキャバクラです。りんちゃんさんに楓さんがひきつけられていく、というのがキャバクラだから、というフィルターを通すことで単純におねロリではない、というのを見せてもきます。楓さんが帰った後にさっきまで見せていたのとは全く違う顔を、さらっと出してきます。キャバクラおっかねえ! キャバクラ信用できねえ! ですが、それでもりんちゃんさん含めキャストの子たちはロリなのでドロドロしたとことかはありません。単純にキャバクラというシステムがおっかないのです。こんなにさらっと裏表があるの怖い……。
 ですが、りんちゃんさんが単に仕事で楓さんにロリキャバ嬢しているだけではない、という雰囲気も出していて、それがこの漫画をどこに向かわせるのか、と思わされます。ロリキャバ嬢間でも色々と関係性矢印が張り巡らされており、それがまたどうなるのか。おねロリキャバクラ4コマという誰も拓いたことのない地平線をかっ飛ばしてどうしようというのか。そもそもどこへいくのか。とにかく訳の分からない漫画であります。
 さておき。
 きらら漫画というと女の子×何か、という二項式の作品が今まではメインでした。かきふらい女の子×バンドの『けいおん!』、女の子×キャンプの『ゆるキャン△』が分かりやすいやつですね。
 しかし、最近は更に一項足すパターンが増えています。はまじあき女の子×陰キャ×バンドの『ぼっち・ざ・ろっく』が今一番ホットですし、アニメ期待作の大熊らすこ『星屑テレパス』なら女の子×百合×宇宙でしょう。
 その伝でいくと、この『おねロリキャバクラ』は女の子×おねロリ×キャバクラ。並べるだに並べられるの!? ってなる文言ですが、今のトレンド、三項式にはきっちり対応している漫画ではあるので、ある意味ではきらら最先端なのでもあります。先端というか突端というか、とりあえずきららだから出来るけど、本当にきららだから出来るだからな? という感じと言えましょう。いや、流石に未来に行き過ぎかもしれません。
 さておき。
 しかし、楓さんがどんどんりんちゃんさんに傾倒していくのを見ると、キャバクラやべーってなってしまいます。こうやって世のおっさんは取り込まれていくのか……。となるのも無理からぬ。そしてりんちゃんさんの表の可愛さも、表に出さない可愛さも、どちらも読者側が堪能出来るので、ますます楓さん大丈夫かなあ、ってなります。でもその表に出さない方でも楓さんに惹かれて、みたいな雰囲気なので、大丈夫……、大丈夫か?
 というわけで、題名が全体全てを表しているのに何が描いてあるのか分からないという不思議タイプの漫画、それが『おねロリキャバクラ』なのです。