感想 OYSTER 『ウムルとタウィル その2』

ウムルとタウィル その2 (HJコミックス)
ウムルとタウィル その2 (HJコミックス)

 大体の内容「ほとんど『毎週火曜日はチューズデイ!』案件!」。『WIXOSS』を基礎に置いているけど、やってることは伝説的伝説、『毎週火曜はチューズデイ!』と大差なし! そんな様態が『ウムルとタウィル その2』なのです。
 この漫画は一応販促漫画であり、ちゃんと販促をしているところもあります。
 だがしかし! まるで全然! この漫画の販促は程遠いんだよねえ! とどこかの4顔になります。更に一応、それでも他のWeb系の販促漫画の中ではちゃんと販促部分はきちんとしています。ブースターとか、登場キャラとか、ちゃんと場面場面できっちりだしてきます。ですが、全体的にノリがどうでもいいことを針小棒大する、オイ先生アトモスフィアによって全てが販促として機能しない。完全に、オイ世界に突入しているのです。
 とはいえ、オイ先生のコメディというのは全体的に寒暖差というか、高低差というか、とりあえず生理的に好まれやすい、フレッシュな感じのあるコメディです。あくまで純粋なコメディメーカーとして、おかしいネタはするけど、変なネタはしない。ちょっと下種なのとか下世話なのとか、そう言うのはほぼない。そこに清潔感すら感じる、けど過度に清潔だとそれはそれでおかしい。そういうタイプの漫画の極北として『毎週火曜はチューズデイ!』があり、そこからの一子相伝、というか描いているの本人なんで相伝もなにもないんですが、なのが、『ウムルとタウィル』シリーズの要諦である、と私は思っていますが卿らはどうか。
 そうは言っても『ウムルとタウィル』は原作ありで販促漫画でもあります、一応。なので、作中に出るキャラクターとかも出てきますが、ウムルさんとタウィルさんを筆頭に、全体的にキャラ崩壊が激しいのも、この漫画の力強さに一役買っています。キャラ崩壊といっても、大体は激しく壊していないんですが、それでも筆頭のウムルさんとタウィルさんは間違いなくゲームじゃこのキャラじゃねえだろうな、と推察させるに十分なくらいにはキャラが崩壊しています。そもそもそういうキャラクター面はゲームでは掘り下げてないんでしょうけれども、これがもう何年もやれている時点で、ファンとも制作会社ともwin-win、勝ち、そして勝つ状態になっているのだろうなあ、と門外漢としては感じたりもします。リヨFGOが既に全体のコンセンサスになっているのと同じ現象でしょう。でも、ナキールンさんとムンカルンさんまで行くと破壊しつくしてしまっているように感じられるので、その辺りはファンの方はどう思っているのか知りたいところです。そしてどうでもいいですが、ナキールンさんとムンカルンさんのしにものがかりネタは超好きなのでどうしたらいいんでしょうか、ありがとうーってつたーえたーくてー。
 さておき。
 そういうある意味自由なこの漫画ですが、この巻の後半で唐突に学園編に入った時はくらくらしました。どういうことだよー! とちゃんみお声も出ようものです。今まで謎の場所で繰り広げられてたけど、だからこそまだゲーム世界と親和、というかギリギリの生命線だったのが、全くそことつながらないようなところをぶっこんでくる訳ですよ。特に意味もなく! 今までの場所も特に意味が無かったから、逆に学園という意味を持たせてきた! とも言いたいですが、それで正気を保てると、誰が決めたんだ? と圧を強めてしまいます。
 とはいえ、学生服のウムルさん達、というのは今までのそれとは毛色が違うので、それはそれでめんこいのではあります。この漫画のコメディ部分は全く清潔感のある無駄さ加減なのと合わせて、ある意味では安心して読める漫画とはなっています。全く『WIXOSS』知らなくてもそういうのだなあ、と楽しめはする。その面でも『毎週火曜はチューズデイ!』の経脈に位置する、というのはあながち間違ってないと思えるのです。繰り返しになりますが。
 さておき。
 個人的にはやはりナキールンさんとムンカルンさんが好きなので、描き下ろしというかおまけの、ゲームしててこれはイベント戦闘。と思ったら普通に負け。のとこのムンカルンの絶句顔が好きです。あの二人基本的にも応用的にも表情が変わらないですが! そこがいいんだ……。
 という感じで、『毎週火曜はチューズデイ!』難民にはむしろお薦めまであるのが、『ウムルとタウィル その2』なのです。