感想 コトヤマ 『だがしかし』1及び2巻

 大体の内容「ほたるさんがおかし可愛い」。駄菓子とコメディー。その奇跡的意味不明のマリアージュ。それが『だがしかし』なのです。
 この漫画は一回一回で駄菓子のうんちくというか個人的な思いというかなのを交えてコメディ漫画としてやっていく物です。メインパーソナリティのココノツ君とほたるさんが、特にほたるさんが駄菓子を絡めたり絡めなかったりのとにかくおかしい行動を取る漫画でもあります。個人的にうすた京介『セクシーコマンド−外伝すごいよ!!マサルさん』とか空知英秋銀魂』のアトモスフィアが、特に突っ込みに感じられました。俺らの年代の突っ込みセンス! というのがビンビンと感じられます。そういう力強い突っ込みには、当然力強いボケが必要ですが、先に書いたようにほたるさん*1がちょっとおかしいテンションで駄菓子を嗜むのが強いボケ具合となっております。駄菓子食べるだけでも一々仰々しいとか、小学生のボスになって駄菓子をお使いに行かせてたりとか、生いきビールで酔ったりとか。後、基本のココノツ君の家の店にやってきてテンション高く駄菓子に対するなんかを言ってココノツ君が(わりと心の中で)突っ込むというのも毎度ながらですがいいルーティンワークです。そこには安定したボケと突っ込みの相乗効果があるのです。コメディとして二人の関係がきっちりしているという事でしょうか。
 訳の分からないことはさておき。
 コメディ漫画なのでキャラクターというのがしっかり立っていないと焦点が合わない訳ですが、その点でいうとほたるさんのキャラクター、人物像は立ち上がり過ぎてココノツ君の存在が危ういのでは? という所があります。駄菓子に並々ならない知識と興味を持つ金持ち、というだけでよく分からない立ち位置にいるほたるさんですが、その駄菓子に掛ける情熱も並々ならないものがあり、毎度テンション高めに駄菓子について語るその様はどうしてこんなになるまで放っておいたんだ! という情熱に包まれております。どうしてそこまで駄菓子に入れ上げるのか。そもそもココノツ父をスカウトするのは何故なのか。そういう謎が、しかしミステリアスにならないくらいにテンション高くてちょっと馬鹿なのがほたるさんなのです。毎度毎度、この人……。っていうのが筋を変えてなので、本当によくよく出来たお人です。後、巨乳です。
 対してココノツ君は将来漫画家になる! という夢を持ちつつも、駄菓子に対するセンスは人一倍というよくよく考えてみても謎のキャラクター性を与えられていて、回が進むとどんどん漫画家? みたいにその設定が忘れられているのが可哀想ですが、彼はほたるさんの突っ込みとか、ありますしね。
 それ以外の登場人物ではココノツ父と遠藤兄妹くらいが名前ありです。その中でもサヤさんがココノツにラブ心、ほたるさんと仲良し、駄菓子屋系遊びに初見から卓越、という最後が謎の三段ドロップを組みこまれており、兄の豆君より印象が強かったり。ココノツ君はほたるさんに気がある、というので三角関係めいているんですが、ほたるさんは一人我が道を行ってるので、ココノツ君が顧みられないし、なので現実的にサヤさんとほたるさんの仲が決裂はなさそうです。後、貧乳です。
 さておき。
 この巻内で好きな回はやっぱり冬の回でしょう。夏休みの間の話なのに冬の日の話という、夏掲載なのに冬の話をするめいた無茶をやっている『カスミ伝』だったか? みたいなのが好感触でした。それに夏だと、チョコ解けますでしょう? ってトレパン先生顔が頭に浮かぶしれっと具合です。そりゃまあ、夏だとチョコネタ出来ないですけどね、でも時間を歪ませる必要はないでしょ? いやあるのか? とチョコネタなだけなのに惑乱させられる部分があるのも、この漫画の良さであります。コメディだからこそやっていい次元の話ですね?
 とかなんとか。

*1:プロフィール的には一代お菓子メーカーの娘。だけどやたら駄菓子に詳しい。後ちょっとおかしい