感想 ちろり 『箱庭ひなたぼっこ』1巻

箱庭ひなたぼっこ (1) (まんがタイムKRコミックス)

箱庭ひなたぼっこ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「可愛いは正義! だが、それは本当に正義なんだろうか」。可愛いは『ジャスティス』は勝つ! という言葉が世界に広まって、既に十年近い時が流れました。その中で生まれた今作、『箱庭ひなたぼっこ』は、そういう風潮にアグレッシブに喧嘩を売りに行くスタイルなのです。
 というのは流石に冗談ですが、この漫画のアレさ、アレとぼかして言うしかないアレさ、ぶっちゃけると頭おかしいさは昨今のきらら4コマの中でも有数でぶっちぎっています。という意味不明のワードを垂れ流すくらいには。そのどこかいかれた、という部分はメインの四人のうち三人がちょっと配線がずれているから起こることであります。
 一人目はこの漫画の主人公格だけどたぶん一番おかしい鈴谷日向さん。花大好き! 自然大好き! 野草大好き! 雑草大好き! という自然派ですが、よく花に話しかけたりなどの奇行が目立つお人であります。特にあだ名を! という話でヤサボッコを採用する回と、花壇に仇為すものは入れない! が極まって花壇の周りを重装した上で自分はバット持ってうろつくという危険極まりないことをしてた回が日向さんの際立ち具合のマストでしょう。
 次は虫大好き一之瀬蘭さん。好き具合がやはりヤサボッコレベルで、そもそも植物同好会には虫が出るから、という理由で加入した逸材であり、また会話の途中で珍しい見つけたらそっち優先になるというスイッチの切り替わり方がおかしい人であります。特に生け花をしてみよう回で虫、それもカラスアゲハの幼虫をあしらってみたりする辺りの虫○チガイっぷりがマストでしょう。
 最後に橘翠子先輩。植物同好会の会長ですが、所々行動がおかしい場合があり、所々言動がおかしい場合があり、ということでこの漫画でもっとも自由人であります。唐突にマジカルアミー(この話世界の魔法少女物)とか言い出したり、植物に対する愛が必要なの! とか言い出したりと自由人という言葉以外でくくれない何かをもっています。ぶっちゃけどこでも危なめなので出番全部マストです。
 その中で一人真面目なのが千堂ゆかりさん。華道の家本に生まれ、それと橘先輩と懇意だったので植物同好会にはいる彼女ですが、その仕事はもっぱら突っ込みというのが不憫です。ボケ三人で突っ込み一人ってバランス悪くないですか? と思っても見ますが、他の三人も他の人がボケたら突っ込むことがある、んだけどほぼ心の中で、というのでボケがボケのまま放置される場合が散見されるのも、この漫画の独特な雰囲気を醸し出しています。だれかきっちり訂正しないといけない部分だけど、誰もそれに対してきっちりと口には出さない。まあ、偶に出しても全然軌道が修正されないですけれども。特に日向さんのあだ名の話の回は突っ込んだり心の中で突っ込んだりのせいで軌道が全く修正されなくてヤサボッコに着陸するので、もっともこの漫画らしい回ではないかとも思います。
 こういうちょっと変な漫画ですが、女の子の可愛さと虫の描写はいいものがありまして、力の入れ所をきっちり理解しているなあ、という感想が出ます。虫に力入れるのは間違ってないかという気もしますが、それがミラクという土地柄なんですよ。と書いてこの項を閉じたいと思います。