感想 青稀シン 『ねこぐるい美奈子さん』1、2巻

ねこぐるい美奈子さん 1 (ヤングジャンプコミックス)

ねこぐるい美奈子さん 1 (ヤングジャンプコミックス)

ねこぐるい美奈子さん 2 (ヤングジャンプコミックス)

ねこぐるい美奈子さん 2 (ヤングジャンプコミックス)

 大体の内容。「猫ッ! 狂わずにはいられないッ!!」。表紙のノリで、女の子可愛い、あるいは猫猫擬人化可愛い漫画かと思ったか? 甘ェ! という言葉すら無力に感じる、美奈子さんの猫狂い漫画。それが『ねこぐるい美奈子さん』なのです!
 さておき、実際に大体の内容で書いた以上の内容が無い、本当にひたすら猫に狂っている美奈子さんの超絶変態っぷりを見るだけと言う漫画が、この『ねこぐるい美奈子さん』。特に1巻中盤までは美奈子さんと美奈子さんの脳内で擬人化された猫(モエちゃん)しかほぼ出てこない為、そのアヘ顔で猫に狂いまくる美奈子さんと、アヘ顔でまたたびに狂いまくるモエちゃんがひたすら連打されるという、まさしく亜空の瘴気に満ち満ち過ぎて<奈落堕とし>(フォールダウン)しているという中二病めいた言葉でも使わないと駄目な位の超絶の漫画となっております。正直に申しまして、この漫画を一気に読みきった今の自分のSAN値が、常の域にあるのか、もしくはもう狂気に振れているのかが全く判然とせず、とにかく気持ちを落ち着ける為、正気を確認する為に感想を書いている次第です。それぐらい家っ飛んでいるとお考えいただきたい。ノリとしてはG=ヒコロウ漫画のハイの状態とサンカクヘッド漫画のハイの状態を足してそのまんまというか、とにかくなんかがおかしいくらい振り切れております。一応、Web漫画の単行本化なので、『ねこぐるい美奈子さん』でぐぐれば載ってるサイトに飛べるわけで、どれくらいやばいのか、ヤンバーイ!のかを怖いもの見たさならそこで一回見てしまうのも手ではあると思いますが、そこで正気が削れた、と言われてもどうしようもないので、そこは自己責任でお願いします。
 さておき。
 この漫画で正気がガンガン削れる第一の理由は、主にツッコミ不在のまま美奈子さんが狂い続ける事でしょう。美奈子さんの狂いぶりは誰かが手を上げてでも止めてあげないといけないレベルなんですが、それが全く誰にも邪魔されず垂れ流されるので全く抑えが利かず、ひたすら狂い続けるという恐ろしい光景がひたすら展開されます。その様があまりに正気じゃないんで、この世界の人は皆ぶっ壊れてるんじゃねえのか、この美奈子さんの狂いぶりが常態なのか、と恐れ戦いたりもしましたが、1巻後半及び2巻中盤で美奈子さんの行動がおかしいというのが周りの目や動画のコメで提示されて、相当安心しました。
 良かった、皆狂って無いんだ。美奈子さんがおかしいんだ。
 と思ったか? 甘ェ!
 という事で、2巻前半のお隣さん及び後半はいぬぐるいと文鳥ぐるいの友達の登場で、そうか、この世界の人が何かに嵌ると狂うのか…。と納得せざるを得ない展開をされます。つまり、美奈子さんの周りにツッコミは基本的に不在なのは、やはり変わりません。なので、大変こちらのツッコミ力、あるいは忍耐力というのをレベル上げてくれる漫画ではないか、そう思ってないと正気が保てない漫画であります。
 どうでもいい話をすると、個人史内でここまで面白い面白くないで言うとヤバい漫画には終ぞお目にかかった事無いです。どう考えても、普通にエロ漫画とかヤバイ系の漫画より普通に流通しているこの漫画の方が確実にぶち狂っているという、この狂気。正直、1巻の帯にある「いま、一番笑える猫漫画!」という言葉は公職選挙法か何かに引っかかるんじゃないか、という駄目なボケすら生み出すレベルで詐欺くさいというか、そもそもこの帯の文を考えた人と俺とでは人間としての内実が全く違う、あるいは人間じゃねえ! じゃないのかとか、表紙ににじみ出ている亜空の瘴気との対比がおかしくないかとか、とにかくおかしいですよカテジナさん! 2巻の帯コメントはちゃんと内容を知った後に見れば納得の言葉が連打されているだけに、この1巻の帯コメントは曰く不可解です。これはちょっとした犯罪なのでは? とすら思うレベル。やはり、漫画帯に識者めいたコメント載せる文化は、こういう悪夢を生むから捨て去らねばならない旧来の遺物だなー、と思うのでした。
 とかなんとか。