感想 小杉光太郎 『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』1巻

 大体の内容。「ローカルアイドルやってみた。」我々(無駄に全体化)オタという者は、常に最前線に居たいという病癖を持っている者ですが、しかし最前線というのは突端である為に大概厳しい立ち回りを要求されるものです。『スイーツどんぶり』(感想)とか『月曜日の空飛ぶオレンジ。』(感想)とか『危ノーマル系女子』(感想)とか『ねこぐるい美奈子さん』(感想)とか、そういう最前衛といえる場所は、とかく人の理性を崩壊させるものを内包しており、こんなに辛いなら、最前線などいらぬっ!と聖帝顔をしたくなるものです。なもんで、そういう狂気の道以外に、最前線は存在しないのか! という模索によって我々(無駄に全体化)の中で見出された漫画、それが『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』なのです!
 というとちょっと過大評価かもしれないですが、それでも萌え4コマ最前線の一つであるのは間違いないと思っていたりする、【ろこどる】であります。どこが、というと、女の子が部活にうちこんだり、部活でだらけたりする姿は美しいという『けいおん!』が完成の域に到達させたフォーマットの前線にいる、つまり最前線にいる漫画な所です。そして、女の子が頑張って可愛い! という方向性は、より女の子性を純粋にする為なのか、アイドルという方向性にも進みました。その方向にも、【ろこどる】はローカルアイドルという存在として、足を引っ掛けております。つまり、『けいおん!』的部活青春物と、アイドル物の撃滅のセカンドブリッドとして、【ろこどる】は存在する訳です。そして生まれるのが、穏当ながらの最前線という、不思議な雰囲気。しかし、新たなロードの存在を予感させるには十分な物なのです!
 さておき。内容の方は奈々子さんとゆかりさんが当然ローカルアイドルに抜擢されて、平成てんやわんやする、というある意味テンプレート。安心安全のテンプレートっぷりです。でも、普段ちょっと迂闊だけど土壇場で花咲く様は素晴らしい。特にスターとまではいかないバランス感覚が素晴らしいです。立身伝話ではなく、あくまでローカルのアイドルであるという立ち位置を崩さないで、しかし女の子が頑張る! という話を作っているのは好感がもてます。ちょっとした事が重要で、大スターになる話じゃねーからこれ! という絶妙の狭さ! 広がるばかりが正しい訳じゃない、という拡大路線に対するアンチテーゼめいてすらいます。4コマ漫画なら、これだけ狭くていいんだ、というのを見事にやっている感じと言ったら、言い過ぎでしょうか。
 キャラ的な話をすると、十人並みの奈々子さんも割りと何でも出来るけどボケてるゆかりさんも、パワフルゆりさんも良いですが、ここで眼鏡っ娘であるマネージャーの沙織さんをピックアップしない日があると思いますか? マネジとしてしっかりと仕事が出来る、けど、裏の顔は流川ガールズの熱狂的ファン。でも、そんなのはおくびにも出しやしねー! という本当に出来る人で堪りません。大人としての分別もきっちりあるけど、少しなら問題無いよね! な辺りが素晴らしい。しかし、無駄にキャラが立ち過ぎているわけでもなく、ほんのりと魅せる様は、10年代標準と言っても差し支えないでしょう。濃いばかりがテクじゃねえんだよ! って面構えですらあります。
 そんなある意味最前線の漫画、それが『普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。』なのです!