感想 こんぱる&:ふじしまペポ 『のむラリアット!』1巻

のむラリアット! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)
のむラリアット! 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「女子プロ! そういうのもあるのか。」。と、井の頭五郎顔になる、そこは確かにあったけど誰も突いてない空域! そこをきっちりときららナイズドしていく漫画。それがこんぱる&ふじしまペポ『のむラリアット!』なのです。
 お話は何か青春なことがしたいみるくさんと、何か女の子にはぁはぁしたい桃さん姉妹が、高校女子プロ界のホープ、翼さんと出会う事から、女子プロへと傾倒していく、というお話です。
 女子プロレス! ある意味では宝塚並みの女の園であります。そういう理解は無かったとは言わないのですが、しかし、実際にきららナイズドされると、その手があった! と膝ポンです。
 この膝ポンに至る思考は0.05秒にすぎない! では、その思考プロセスをもう一度見ていこう。
 まずきらら作品に何が必要か、というと徹底的に女の子です。男の子の出る漫画もありますが、ど真ん中で主役を張る漫画は、かなり少ない。希少価値とすら言えるレベルです。
 ゆえに、きらら作品とは女の子の出る漫画、というものです。そこに対するアンサーは色々ありますが、この漫画はある意味で女の園女子プロレスを選択した訳ですよ。
 これが第一膝ポンポイント。今まで確かに見える位置にあったのに、見えていると気づかなかった部分をクローズアップする見事なワークです。
 そして、プロレス、と言う題材も中々慧眼。というのも、色々な部活物が跳梁跋扈するきらら作品において、新規性というのは大変重要です。あまりに重要過ぎてそれをハックする、みくるん『はなまるスキップ』みたいな際物さえ登場する有様なのです。そこに対して、古来よりありつつ、しかしきららナイズドされてこなかった題材、女子プロ、という発見をした。それだけで一段高い位置にこの漫画がある、と言える状態です。
 ここが第二膝ポンポイント。他の漫画と競合しない、稀有な位置を見つけたというだけでポイントが高いのです。
 この二点によって、この漫画はそれだけで注目に値する漫画となっているのです。
 と、政宗ナレーションから雑語りしましたが、とにかく女子プロを選んだというのが、この漫画の特異性として際立っている、という理解でいいかと思います。
 しかし、突ける点を見つけたとて、それに対する突進力が弱ければ意味を成しません。きらら誌の脆弱性を突くには、脆弱ではあってもそれなりに強固なそれを突く、きっちりとした力が必要なのです。
 と、書いている時点で既にお気づきでしょうが、あるのです。この作品に、そのパワーが!
 この漫画は、きらら作品としても真摯ですし、女子プロ物としても真摯です。極めつけに漫画としても真摯です。この真摯さが、腐れきららオタな私には直撃だったので、この項を書いている次第です。
 きらら漫画としては、キャラクターである女の子がきっちりと区別がつくという良さが際立ちます。顔の造形が似すぎてシェフ子ちゃんさん以外誰が誰だかいまだによくわかっていない、はなまるスキッパーの風上にも置けない私でも、この漫画ではきっちり誰が誰だか分かる、と言うので既に上手い。キャラクターとしてきっちりテンプレートなところを使いつつ、細かい味付けでキャラ分けしている点もいいです。桃さんの女の子好きの度が過ぎたとことか、ホント上手いですわ……。
 女子プロ物としては、みるくさんと桃さんが初心者、と言う部分をきっちり使いつつ、でもまずばっとやらないとな! と派手なとこも見せ、それからちゃんとやらないと危険だからね? と締める、女子プロだからって舐めるなよ、と言わんばかりの展開が妙味でした。きちんと危ない面もある、と提示して、女子プロレスとて侮れぬ、とさせてくれます。そしてそこでちゃんと部長と副部長の人間関係が見える点も大変良い。部活物としての軸線もきっちりとしているからこそ出来るものでした。
 最後に漫画としては、ちゃんとプロレスを魅せるにはどうするか、というのを考えて作られているのが節々から感じられます。特に、4コマの弱点である動き、コマの大きさが一定且つ小さいゆえに大きい動きが魅せづらいという点を、どうしたらいいか、という視点できっちり4コマとして仕上げているのは驚嘆に値します。
 基本として4コマの基本のコマ型を使いつつも要所要所でそこから逸脱するコマを使う、という手腕は、最近のきらら漫画では少しづつ見られる所作なのですが、それがここにも伝播している、というのは中々面白いことだと思えます。
 そういう訳で、全体的に大変作りがいい漫画ですが、ちゃんとみるくさんと桃さんが女子プロへと傾倒していく、方向性が微妙に違うけど、というのがちゃんとやれていて、そこが部活物としてきっちりしているのが大変いいなあ、と思ってしまいます。みるくさんが素人で初心者だったのが、負けて悔しい、という気持ちを持つことで、何かに打ち込みたい、その打ち込みたい先が既に自分の中で出来ていたんだ、というのを明示してくるとか、そこに対して、翼さんがフォローしていくとことか、大変いい仕上がり。ユウジョウ! うん、これこれ! と心の中の井の頭五郎がいうくらいしっくりくる展開で、この漫画の出来る事の深さを感じます。
 とはいっても、基本はきららナイズドらしい女の子がわちゃわちゃする漫画です。桃さんは葛藤とかなく女の子の園であるのを堪能してたり、小さい方の先輩がいらんことして制裁されたり、監督が酒飲みたいってして制裁されたり、という感じでわちゃわちゃが楽しい漫画なのです。そうわちゃわちゃしつつも、そこにちゃんとガチなとこを入れ込んでいるのがまた、本当に上手いのです。
 この上手さ、是非体験して頂きたい! とモズクズ様顔しながら、この項はお終いとします。
 したらな!