感想 佐渡川準 『あまねあたためる』1巻

あまねあたためる 1 (少年チャンピオン・コミックス)

　大体の内容「ぽかぽか少女喜劇！」帯からひかせていただきました。というのも、この漫画がどういうものであるかと言うのが大変難しいのです。白地に女の子表紙であるので、安直に萌えか？とビリー・カーンボイスで見てしまう向きも多いかと思いますが、これがなかなかにさにあらず。確かに女の子可愛いである漫画ですが、萌えそれよりもコメディの部分、あるいは聖女めいた雰囲気が強いのであります。萌える萌えないで言えば確実に萌えなんですが、どうにもちょっと通常の萌えとは毛色が違うといいましょうか。一話目最初の蝉のしょんべん引っ掛けられて樹液ですから、を強くも弱くも言わず、ゆるく淡々と語る場面は特に聖女感を持ってしまう所でありましょう。いや、樹液でもちょっと問題だろ！　というのを全く感じさせない雰囲気を、表紙の女の子でありメインパーソナリティである温周（ぬくもりあまね）さんは持ち合わせているのです。それが、一概に萌えと言い切れないあわいを生んでいたりする。それがこの漫画『あまねあたためる』なのです。
　さておき。
　どんな内容なのかという話をもう少ししますと、ちょっとした問題がある男子（たまに男性、たまに女性）にちらっと温周さんが関わる事で、その問題がするりと解決していく、という漫画であります。温周さんは特にその解決に尽力する訳ではなく、なんとなく関わったり、なんとなく関わっているというべきなのか分からない関わり方するだけです。男子がちょっとした事のおかげでちょっとだけ色々良くなる、というのが基本。大解決！　とか大立ち回り！　とか全く無い、あくまでちょっとした事。それを喜劇的に進められていくのであります。なので、読後の感想としてほっこりという物が恐らく一番適している言葉ではないかと思います。良かった良かった。それだけなのです。それだけだというのに、なんだかとっても、ありがてぇじゃねえか……。と謎の食通ボイスが自然と出てくるのもまた、この漫画の特徴と言えましょう。そういう不思議な漫画であります。
　さておき。
　基本的に温周さんが可愛いなー、である漫画なわけですが、先にも言った様に聖母めいているトコが温周さんにはあります。特に包み込むような行動してるわけでもないし、単なる女子学生なんですが、なんか妙な落ち着きと明るさと優しさに満ち満ちているんですよね。それをだからと言ってメインに推し進めるというか、そこをしっかり見せ付けるというよりは、仄見える感じであったりする辺りが変な漫画だなー、とか思ったりします。その辺も萌えとはちょっと
　今後どうなるのかを含めて、気になる漫画であったりします。長く続いてどうなるのか、って気になるわー。