感想 はりかも 『夜森の国のソラニ』2巻

夜森の国のソラニ (2) (まんがタイムKRコミックス)

夜森の国のソラニ (2) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「人も深まる、夜の森」。ソラニが来てから夜森の色々が少しずつ変わっていく。そのちょっとした変化が心地いい漫画、それが『夜森の国のソラニ』なのですが、ソラニの謎についても少しだけ進展があったりもします。夜市の語る言葉に、ソラニが少し混乱してしまうのがこの巻の大きめのトピック。その混乱をひとまず解決したのが夜森であったのは、ある意味当然の結果と言えましょう。そういえば、回が進むに従って、無感情に見えた夜森の表情も色々と変化しているのが、漫画で読んでいる我々にも理解出来るレベルになっていたりします。そりゃ、周りの人も表情があるのに気がつくわな。ソラニの何がそんなに良かったのか。あるいは、そこまでしっかり関わる人が居なかったからなのか。昼森との決別で、人を遠ざけてた節もあるっぽいし。それが改善されてるというのは、ソラニとの関係からなのでしょうなあ。やっぱりこの漫画の肝は触れ合いであるのかなあ、とか思ってみたり。
 そういう触れ合いの話では、人魚ちゃんやめりこちゃん、それに幽霊さんの話など、いい話はたくさんありますが、個人的には狐先生の回がいいですね。美しさに奔走したけど、歳と共にそれが失われる、というのに絶望した狐先生が夜森に来たのは本人の言うように必然だったのでしょう。そして、それが、美が失われる事に納得出来る日も来ないような気もします。その辺は今後どうなるのか。あるいは、全くその辺は解決しないという可能性もあります。サブキャラ全員の起床が見れる世界でもないし。それにたぶん、狐先生は屑持みたいに目が覚めるのを期待しない部類だし、永遠に夜森で生活しても問題無いとか思ってそうですし。そういう人も包むのが夜森なんだろうなあ。優しい夢である。
 しかし、その全貌はまだ完全には分かっていない、というか、昼森がいた頃の森は一体どういうものだったのだろう、ってのが謎のままです。あるいは、それとソラニに何か関係があるのでしょうかね。昼森と同じ姿だし、もしかすると、夜森のウィークポイントに擬態した、というのでしょうか。しかし、それだったら何故? 弱点を突く必要がある理由とはとか考えてみるも、情報は多くはなく。この辺はきっちり明らかにして欲しい所です。
 話代わりますが、中野さんがなんか可愛いです。昼森の女の子っぽさに憧れてる所とか、自分の男の子っぽさに嫌気がさしてる所とか、いいですね。つまり憧憬とコンプレックスが入り混じる形で、昼森に注目してしまっている訳ですよ。それ以上に、何か見ていないといけないという雰囲気も昼森にはあるんでしょうけれども、女の子が女の子を事案としては中々にいい物であります。この二人の掛け合いも、もうちょいあったらいいのになあ。何も無い昼森の一日とか、ちょっと見たい。中野さん回もそんな側面ありますけど、もっとただの一日が見たい。夜森にはそういう話結構あるから、閑話としてそういうの見たいじゃない? そんな事を思うのでした。