感想 CUTEG 『スイートマジックシンドローム』2巻

 大体の内容「甘く、可愛い、女の子達!」。女の子が可愛い。それは今では萌え漫画と呼ばれる範囲においては、まず確実にぶち込まれているド基礎でありますが、まんがタイムきららミラクもその例外は無く、というより、むしろこんな局面でも女の子は可愛い、という思考実験のような世界観、キャラ設定を積み重ねた物が主体であります。そういう界隈において、この漫画、『スイートマジックシンドローム』の特徴は一応、主役の甘子に対してプリン達が異郷人であるというのがありますが、それ以外はほぼなく、且つプリンが元の世界に帰れない、というのもそれも特に意識されないくらいにプリン側の人がちょくちょくやってくるんで、あって無きの如くというか、今書いてて思い出すレベルです。そういやそうだったな。
 そんな他の漫画との違い、凡百との違いといえる部分がかように意識されなくなっているので、じゃあこの漫画どうなのよ、それじゃあ可愛いだけなんじゃいの? という思いを持たれるでしょう。そして、その通り、可愛いだけなのです。しかし、それは全くネガティブな意味合いではありません。ポジティブに、そして高らかに、可愛いだけなのです! と言える漫画となっている。それが『スイートマジックシンドローム』なんです!
 可愛いを出すにも色々。仄かに見え隠れするものから感じる物から大きく全面にして味わう物まであるわけですが、この漫画は非常に平易です。可愛いを出来るなら、いろんな手管を使うのをためらいません。たとえば甘子はほっこり系ヒロインですし、プリンは食い意地系ロリっ子です。ショコラは正統派ツンデレですし、クレームさんは愛い女の子スキー系の王道ですし、キャラメルさんは男装似合うヅカ系でやっぱり女の子好きです。この辺をベタで節操がないという言い方も出来ますが、可愛いに対しては妥協がない、忽せにしないという言い方の方が、この場合は正しいでしょう。そんな可愛い子達が、ただ可愛い日常を送る。本当にそれだけと言える漫画なんですが、それゆえの大変な口当たりの柔らかさ、読後の爽やか。尖った物にはない、この優しい当たりが、一番の特徴でしょう。可愛かったなあ、という印象以上のものが残らない、というとDisに聞こえそうですが、それが全くいい意味なのもポイント。色々残すのもまた一つの在り方ですが、可愛かったなあしか残さないのもまた、あり方としてあっていいのではないか。そういう考えもしてみたり。そういう意味では、大変いい読後感を持ってくる漫画であります。
 キャラ話すると、やっぱりキャラメルさんが好きだなあ。プリンのお目付け役だけど、その任はあんまりしてないで、皆の面倒をみている感じが、いいんですよ。お父さん扱いされてるのもまた、それなら頷ける、わりと縁の下の力持ち。女性は口説くけど、あんまり上手くいかないのもね。そういうタイプの人ってやっぱり好きだなー。男装の麗人も、黒セーラーもするキャラメルさんは意外と衣装面でも美味しいなあ、とも。今回は競泳水着でエロいライン見せてたので眼福でした。ありがたや、ありがたや。
 基本的に柔らかく暖かい雰囲気を感じるのだけ、という漫画なんですが、そういうのとしては大変レベル高くまとまっていて、ゆっくりほっくりと、安心出来る漫画であります。強く勧める、ってわけじゃないんですが、でも、こういうのもあって、魅かれる人は大変魅かれるですよ、とは言える漫画なのです。そういう人に届けばいいなあ。