感想 塩野干支郎次 『プニプニとサラサラ あるいは模型部屋の少年と少女における表面張力と毛細管現象』2巻

プニプニとサラサラ 2 (2巻) (ヤングキングコミックス)
プニプニとサラサラ ―あるいは模型部屋の少年と少女における表面張力と毛細管現象―(2) (ヤングキングコミックス)

 大体の内容「女の子と模型作り。そこでラッキースケベが起きない訳がなく……」。ということで、真っ当にプラモ作り漫画しつつも、女の子可愛い漫画としてもちゃんとやる。漫画家の辛い所だな。覚悟は出来てるか? 俺は出来てる。という感じに覚悟完了な塩野先生の漫画。それが『プニプニとサラサラ』なのです。
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 リンクの1巻感想でも書きましたが、再度書いてもいいでしょう。というくらいにこの漫画は二つの車輪、<プラモデル>と<女の子可愛い>で構成されています。プラモを真っ当に教えるところと、女の子可愛いを手管で魅せるところと。その二つが、初歩な部分でも十分に難度のあるプラモ部分を女の子可愛いで読ませ、女の子可愛いの手管が浮足立つ部分をプラモの真っ当さで抑える。この二つの軸の、それぞれへの依存によって生まれる安定感によって、この漫画は成り立っています。
 この漫画も2巻となりましたので、1巻の頃よりもより深度を上げていきます。主人公たる匠海君が一つプラモを完成させたのです。そして輸送船から、<雪風>へ。ということでプラモの作り方の深度が一つ上がりました。今回の巻で塗装に入ったばかりだというのに、ガンガン推していくメインヒロイン文夏さんであります。深度が一つ、なので当然やることの難易度も上がっています。パテの塗り方からその整地、そして少し応用度の高い、色の隠蔽度を考えた塗装へと向かっていくことに。この辺になってくると、細かいながらも重要な基礎とかがボンボン出てきて、プラモの楽しさというのが垣間見えると同時に、難しさも感じてしまいます。
 そういう部分を和らげるのが女の子可愛い要素ですが、今回も結構なラッキースケベが発動します。落ちたパーツを拾おうとして頬に口付けが、とか、倒れそうになったけどおぱいがクッションになって助かったけど姿勢が崩れて戻せないぜ! とか。おのれ匠海!
 しかし、ラッキースケベの難度が徐々に高まっている気もします。おぱいクッションやったら、あとどれが残っているか、って塩梅ですよ。こっからその辺のネタが苦しくなるのでは? というどうでもいい懸念を出してしまいますが、そこは塩野先生。『ブロッケンブラッド』でもうこれネタ無理だろレベルまでいってもこなしていた経験値が違う。きっと、きっととんでもないことをやってくれる……。という謎の信頼があるので、ネタが苦しくなってからだよ! と変なことを行ってみたいかと思います。
 さておき。
 この漫画は女の子可愛い漫画なので、当然出てくる女の子は皆チャーミングですヨネ。と本国流法ですが、メインヒロイン文夏さんは当然としても、文夏さんと同じ事務所のアイドル恵愛さんがきつい感じだけどいい人なので好きです。基本ストイックタイプで険も強いけど、戦闘機なら教えてやろう、とか言ったりする場面もあって、お前いいやつだな……。ってなってしまうんですよ。ああ、この人の恋愛顔みたい、というか。まあ匠海くんとそれ、と言うのは無さそうですけれども。三角関係でぎくしゃくするタイプの漫画でもないですしね。
 さておき。
 2巻も上記のようにプラモと女の子可愛いで押してくるスタイルは変わりませんが、ちらっとですが違うネタも挟んできます。それが、撮影の話。影が、影がダサい! と文夏さんと同じ事務所のリタさんが撮影に苦慮しているところに、匠海くんの叔母さん、渚子さんがこうやればいい、と簡易ディフューザーと簡易リフレクターというテクを見せてくれます。へー! と感心してしまいましたよ。単純にプラモ作るだけではない漫画として立ち上がっていくのか。そういうの、全然おっけーなので、どんどん幅広くやってくれなさい。などと思うのでありました。