感想 楯山ヒロコ 『椿さん』5巻

 大体の内容「椿さん、疾風迅雷」。今回も椿さんが出て収める! というこの漫画の基礎は変わりないのが大変嬉しい漫画。それが『椿さん』なのです! この漫画の基本形は、椿さんが普通の家政婦にしてはオーバースペックなのに、意外と草野家ではそれがきっちり活かしきれている。けどでも良く考えるとやっぱりはみ出てる! という椿さんのスーパー系(無茶なパワ)でリアル系(無茶な機動性)な所をしっかり見せてくれる事です。今回もそれに過不足は全く無く、むしろちょっと過でもおかしくないのに丁度いい位に楽しめるってどういう事だよ! というテクニシャンっぷりは健在です。椿さんが楽しそうで何よりです! という、椿さんファンの自分がつややかな面構えになるの仕方ないと思っていただきたい。今回も椿さんはブリリアント! なのですよ……。若干過な行動な気がするのに、椿さんならしょうがないな。そう思わせる素晴らしさがそこにはあります。
 その素晴らしさが、通常より発揮されるような気がするのは、たぶん描き下ろしの4コマの椿さんのもしかして系が大変ぶっ飛んでいたからでしょうか。粗暴椿さんの絵柄と、エロい椿さんの絵柄がとても特徴出過ぎで、内容も特徴的過ぎて、しかし楯山ヒロコ絵、楯山ヒロコ漫画の範囲から逸脱しきらない。そしてそれゆえに、いつもの椿さんとの対比が際立つからかと思います。粗暴椿さんやエロ椿さんが近しいがゆえに、そうではない椿さんの美しさ、麗しさ、すなわち美麗さが際立つんですよね。基本的に椿さんがなんとかしてくれる! という漫画で、それ押しではあるんですが、だからこそ似た形になりやすい。そこを描き下ろしでちょっと目先変えられると、椿さんの基本の良さがしっかり見えてくる。箸休めとしての効能ですね。それがあるから、単行本は止められん!
 さておき。
 今回も椿さんはオールタイムオールウェイズ、ディモールトいいんですが、一番良かったのは、稔君が成長して、いつか結婚したら、という想像をし始めて、寂しくなるとか思うのかと思ったら4代仕えれる! と喜びを新たにしてた所でしょうか。気付いて輝き過ぎでしたよ、椿さん。ああ、本当にこの人いいなあ。この人に焦点が当たっているこの漫画はいいなあ。そう思いました。
 そういう椿さん一点突破かと思ったら、稔君も前記のように彼女とか出来てるん? という雰囲気が出ていたり。萩ちゃんと仲良くて、そういうの? って思われただけですが、稔君はそういう雰囲気持ってないし、萩ちゃんの方も今の所はそういう方向性で稔君見てないので、誤解だったりしました。でも、稔君もそういう話が出るような歳になったんだなあ、というのを感じたりも。同時に、卓爾爺様も先は長くないんだぞ、という話も出てましたね。かくしゃくしているけど、歳は歳なんだよなあ、というのが提示されたのは大きいかなと。いつか、そういう日がこの漫画で描かれるのだろうか、と思ったり。無いわけじゃないだろうけど、どうなのかなあ。そこまでする事無く、終わっても問題無いんだけども。
 とかなんとか。