感想 楯山ヒロコ 『主任の一之瀬さん』2巻


楯山ヒロコ 主任の一ノ瀬さん 2巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「一ノ瀬さんは今日も飲む」。ということで、お気楽主任の一ノ瀬さん漫画。堂々の完結と相成りました。正直もうちょっと見たい。もうちょっとどころかずっと見たい。そんな思い入れを持ってしまうくらいいい漫画であったかと思います。ある意味では『釣りバカ日誌』などの系列に連なり、綿々と続いたら良かったのに。という死んだこの年を数えるような気持になるくらい、好きな漫画でした。そういう話はどうでもいいですね。
 さておき。
 この漫画の良さというのはそのまま一ノ瀬さんという人物の良さであるのは論を俟ちませんが、しかし、本当に一ノ瀬さんはい意味でも悪い意味でも今時のサラリーマンとは一線を画します。とはいえ、実際の所昔のサラリーマンでもここまでスーダラだったことはない、案外今より激しく仕事していた、ので、実際新時代な一線の画し方をしているのが、一ノ瀬さんであると言えましょう。基本抜けていて、仕事もガチガチにやらないけど、やったらちゃんとできる所の騒ぎではない。というのは、ある意味では現代的な信仰のようなものであるのではないか、とすら思いますが軽く意味が分かりませんね?
 意味不はさておき。
 一ノ瀬さんの良さはそのままこの漫画の良さですが、だからこそ一ノ瀬さんの予測不可能なところがこの漫画の振れ幅であります。一番とんでもない、と思ったのは帯の一文にあるように、机の下でご飯炊いちゃったのでしょう。特にそれを長引かせることもなく、一発ネタとして軽く消費する様や、それをした理由なども含めて、この漫画のらしさが一番凝縮されていたネタでありました。こういう、もっと掘れそうなところをさくっと使って省みない、というある意味自分のネタの幅に対する信頼と言いましょうか。まだ全然出せるぜ? という部分も楯山ヒロコ先生の強みであるよなあ、とも思ってみたり。
 それがしっかり味わえるのが、最終回へ向けての不味ドリンク販促強化回。一つのネタを絞っても、出来るんだぜ? というのがしっかり見れる、序破急さ。正直ここまでの手並みを見せられると、こういうのを偶にしつつ延々とやって欲しかった。もっと、続いて、うう……。
 さておき。
 総評としてはネタの幅とオチの騒がしさは相変わらずだったなあ、というのである意味では発展性はなかったという感じですが、ぃんだよ何もかにも発展しなくてもよ!
 とかなんとか。