感想 施川ユウキ 『バーナード嬢曰く。』

 大体の内容「知ったか読書家曰く」。一番最初の名言使い漫画のしゃっ面が以後も地味にはあるものの、その様態は読書家、それも知ったか系読書家漫画という謎の漫画へと変貌していきます。詳しい読書家じゃない、からと言って読書系漫画が描けない訳ではないのだよ! というのと、名言使い漫画はアクセントじゃないと使い辛いんだよ! という施川先生の顔(withグルグル目)が垣間見える漫画、それが『バーナード嬢曰く』なのです。
 さておき。
 知ったか系読書家町田さん(バーナード嬢。あんまり使われないけど)の知ったかぶりは素晴らしいですね。行動に数限りなくイラッと来るレベルですが、そうは言っても自分もそんなに読書家じゃないので人の事は言えないので、このイラッと具合を抱えて死んでゆかねばなりません。*1 町田さんに対するカウンターが生まれるまで、このイラッと具合は続きますが、カウンター、怒れるSF者神林さんが生まれてからは気持ちが良いのですよ。誰もがやりたかった町田さんマジぶん殴るを実際してくれるのは痛快の極み! とはいえ、神林さんも面倒臭いんで、殴りたいじゃなく気持ちは分かる。けど! というのが結構あります。SFの訳題について一くさり語りだす辺りはマジで鬱陶しく、SF者に対する施川先生の鬱屈した何かというのを感じずに入られません。そして突如出現するイーガンも良く分かって書いてない発言。不遜! とも思いますが、理解度を作者側と摺り寄せるのは不可能だから、分かってないと思っても問題無いんだ! という神林さんの姿はお笑いだったぜ。
 さておき。
 個人的にはあまり出番が無いけど、この漫画の眼鏡っ子担当長谷川さんも面倒臭くていいなあ、と思います。ストーカーな遠藤(バーナード嬢にそれとなく付きまとう男)に気持ちがあるけどこっちもストーカー(図書委員だからもあるけど)という面倒臭さ。でも、特に病んだりせず、見守る事のみに徹していたり、たまに主旨貫徹せず話しかけてみたりと、色々と行動する様を自分が見守る、という三重のストーカー状態に陥っていたりしますが、それでも特に問題無いので安心です。変に黒い話にもならない漫画なので、楽に読めるのが、ここではいい方向に作用しているといえましょう。ああ、俺も『銃・病原菌・鉄』さっさと読まないとまずいなあ。読まないと積みあがり続けるだけだしなあ。
 とかなんとか。

*1:死ぬ必要は無い