感想 押切蓮介 『ピコピコ少年TURBO』

ピコピコ少年TURBO

ピコピコ少年TURBO

 大体の内容「全ゲーム少年爆笑&落涙!」。この漫画の特徴はゲーム世代、それもファミコン時代からPS時代をゲームと共に駆け抜けた世代の回顧録であり、つまりそういう素養が無い人が見ると単なる奇態にしか見えない現象が綴られている訳ですが、逆に言うと素養のある人にはあまりのあるあるネタの度合いと無闇なノスタルジーに苛まれるという、ある意味踏み絵のような存在です。わてくしは当然後者の素養ありのチームに入るので、爆笑と落涙が怒涛の如く押し寄せる事になる訳ですよ。はっはっは、バカよバカ。ゲームバカよ!
 ゲームバカ度合いではやはり風邪で休んだ日の過ごし方は全くのお前は俺か状態であります。皆が勉強している時に自由であるという優越感と、ゆえの罪悪感とかあるある過ぎて涙がちょちょぎれる仕様でありました。テレビの番組のホラー特集とか見てしまって慄いたりとかあったなあ。というかあの時代は何故ホラー特集を特に夏でもないのにやってた記憶がある。そりゃほとんど夏が主だけど、年中やってたような気がする。そんなに主婦層はホラーを求めていたのだろうか。そして風邪で休んでるのに自由と分かるとテンションが上がって体調が良くなるというのも、まさしくあるある。そうなんだよ、なんか風邪って気持ち次第であっさり回復した気になるんだよ。でも、気だから実際は休まないとやばいけどな!
 他にも友達の家でゲームし過ぎて門限破って締め出される回や出かけ先で電車賃さえ使いきってしまうという回は、そこまで無計画にした事無いものの、話には聞いていた事が実際にあったという事実に驚愕でしたし、夏休みを出来もしない部活で浪費する回は見ていてなんでそんな事をする部活に入ったんだ! と思って見たりしますし、女子に仄かな恋心抱かれてても粉砕玉砕大喝采する辺りは、ああ、バカなんだ……でしたし、エロゲーしたい欲が爆裂する回も気持ちが痛いほど分かって困るし、とゲームオタだったからこそ理解出来る心情がつぶさに描かれているので、本当に俺得な漫画だなー、とか思うのでありました。
 しかし、ゲー友がドンドン減っていく話はなんというか、痛いですね。自分の場合とかも考えてみると、着々と減っていくからなあ、ゲー友。今はネットがありますから、少しはマシで少し厄介ですが、そういうの無い時代だったもんなあ。日々面を合わせてないと、気がついたら消滅するものですしねえ。でも、この漫画の場合はエキセントリックな内容で友情が壊れる様が描写されているので、痛いながらも楽しい仕上がり。というか、押切せんせは本当にネタに困らないゲーム世代だよなあ。なんか変な事ばかりだけど、でもちょっと分かってちょっと羨ましい。そんな事を思ってみたり。