感想 渡辺伊織 『ギンダラとキンメダイ』2巻

ギンダラとキンメダイ2 (バンブーコミックス)

ギンダラとキンメダイ2 (バンブーコミックス)

 大体の内容「古沢家は仲良しなのである」。明るく多くの事が出来て人気のある姉、百萌さん。姉の唯一の弱点である家事は得意だけど地味で目立たない妹、菜々葉さん。二人には色々とあるけれど、なんだかんだでとても仲のいい姉妹の話。それが『ギンダラとキンメダイ』なのです。
 今回で最終巻というせつなさがみだれうち事態ではありますが、基本的に姉妹二人の日常を紡ぐ漫画であり、特に飛び跳ねるような事は起きたりしないので、それがゆるゆると、しかししっかりとひとまずここまで、となったのはそれはそれで良かったのかなあ、と、4コマ誌を買うようになってというものの2巻終了慣れがゆえの言葉もするりと出てきます。この二人が離れ離れになる、と言う所まで描かれてもそれはそれで困ったかもしれないと思うと、この終わり方がむしろもっとも優れているのではないか。そう考える事も可能です。いつかは別れる時が来るけど、それでも二人は、というのも見たかったですよ、そりゃね。でも、この巻での最終回直前の、ちょっとした諍いからの話の流れ、何でも出来るはずの百萌さんが何も出来なくなって……というものから、最終的にやっぱり仲のいい姉妹である、姉妹だから大丈夫だ! という諍いの決着の仕方を見るに、この二人にはなんのかんのであっても仲良く一緒に居て欲しいという気持ちがする訳ですよ。この二人の仲の良さこそ、この漫画の最大のとりえであり、長所であり、存在価値なのですから。ちなみに短所はやはり派手さが、キャッチーさない事なんですが、それはそれで何時でも見れる、特段に気合を入れる事なく見れるという長所としても立ち上がったりします。この滋味さ加減と古沢姉妹の仲の良さが織り成すアンサンブルこそ、『ギンダラとキンメダイ』なのですし、それだけでここまで引っ張れて楽しいと思えたのも、この漫画の凄みであったりします。これこそ、褒め言葉としての“普通に面白い”ですよ。
 さて、『ギンダラとキンメダイ』というと、当然トータな訳ですが(な訳ですか論法)、今回の彼もまた非常に萌え萌え出来る存在でありました。今回も節々で菜々葉さん好き好きオーラを出しているのですが、トータの出し方がクソタレ下手なのと菜々葉さんの鈍感スキルがクロスして歯牙にもかけてもらえない展開が続いていました。この恋の顛末がどうなったか分からない、我々の妄想力に委ねられる展開となったんですが、でも、トータこのままだとまごまごしている内に菜々葉さんに好きな人が、って余裕でありそうなんだよなあ。そこでトータが一歩出るとかそういうのが、という妄想が止まりません。分からないままだからこそ、出来る妄想があるのですよ。
 というのはさておき。今回のトータ最萌えシーン。

 後ろの文字の為にちょっと大きくしました。どういう状況下かというと、菜々葉さんが私に家事以外でとりえでも? という質問に対して、速攻でいい所が思いついて頭の中でぐるぐるしている所です。瞬時にこれだけの言葉が脳内を駆け巡る、ってトータはどれだけ菜々葉さんの事が好きなんですか。そしてここまで想ってるのに告白しない点が萌えますね? なんだんだよもう、トータ可愛いな! この二人の恋の結末は、だからやっぱり少しは進展は見たかったなあ、というのが正直な所であります。菜々葉さんが恋人が、トータと恋人になったらどうなっちゃうんだろうなあ。なんかあんまりがつがつ恋愛しそうな二人じゃないですけども。というか、菜々葉さんが百萌さんに忙しくてそれ所じゃないけど百萌さんは二人の事を応援するよ! みたいになって余計手間が増えそうだなあ。そういうのも、見たかったなあ。
 とかなんとか。