感想 さおとめあげは 『ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ』1巻

ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ 1 (B's-LOG COMICS)

ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ 1 (B's-LOG COMICS)

 大体の内容「グッドルッキングなニンジャとニンジャの顔が近い!」。正直に言うとこの帯の言葉はどうなんだとは流石に思うんですが、最初のミニットマン戦の段階で確かに顔が近いのでそういうものだ。と理解していくと、これもまたニンジャスレイヤーのアトモスフィアである、と感得出来るようになる、それが『ニンジャスレイヤー グラマラス・キラーズ』なのです。
 よくよく考えなくても、B's-LOG誌に『ニンジャスレイヤー』(以下忍殺)が、というのは狂気の淵に立っている感満載であります。こちとら男オタなので、そっち方向はまさしく井戸の中の闇を覗きすぎると落ちるのアトモスフィアに満ちており、しかし忍殺に課金出来る機会には全力で向かい合いたいという事で、半ばタイガー・クエスト・ダンジョンめいた心持ちで突撃して買ったのであります。で、どうだったかというのは、思った以上に忍殺アトモスフィアであり、これもまた忍殺の側面としてありだと感じました。確かに余湖版『ニンジャスレイヤー』のように原作に濃密に近づく、漸近するアトモスフィアとは違う。確かに顔が近い。確かにグッドルッキング。確かにその線の細いキャラクター絵は、わらいなく絵によるキャラクターとはまた違うアトモスフィア。元々わらいなく絵が確定という訳ではないのが忍殺の良さであり、許容量なのであり、そこをこれは違う、とするのは野暮重点であります。流石にヘッズのイメージではおじいちゃん呼ばわりされているナラクが若々しい&半裸なのには少々面食らいましたが、それでもナラクの悪魔的な側面からすれば、こういう若い感じというのもありかな、と慣れるようにはなりました。
 さておき。
 内容面は基本的に忍殺のそれと流れは変わらない訳ですが、この漫画の特徴は、殺されるニンジャが、死んだ後に死後の世界に突入するという所。どこかで見たオタッシャ空間という言葉がしっくりくるそこで、死んだニンジャが爽やかに死後に向かっていく、というのが描かれる訳でありますが、これが本当に爽やかで、こいつらが悪逆非道をしていたという事実をすっかり忘れそうになりつつ、更に濃厚なBLめいた薫りにダイレクトに脳が揺らされます。揺らされ過ぎて訳が分からないくらいです。
 ただ、このオタッシャ空間というのが、単にネタとして消化しきれない部分が存在するのが、忍殺の深みと言うか泥濘です。基本的にニンジャソウルはキンカク・テンプルより来るらしいというのが、今の所の話ではありますが、死んだニンジャのニンジャソウルは、ハラキリ・リチュアル時のようにキンカク・テンプルに戻るとして、じゃあ憑依された人間のソウル、魂はどこに行くのか。ニンジャソウルと一体化して戻ってしまうのか、離れて別の所にいくのか。この辺、既に考察とかありそうですが、とにかく、その辺りはまだ明確化されていない。そこにこのオタッシャ空間ですよ。これはあるいはボン&モーの想定している内容なのか、それともさおとめせんせの創作なのか不明ですが、とにかく、ニンジャソウルから解き放たれているように見えました。あるいはあそここそキンカク・テンプル内なのかもしれませんが、とにかく人の魂の行き先が具体化されたので、今後の考察が待たれます。そういう部分が油断ならない、そんなコミカライズでありました。アスヒュが最後に出てたので、こっちもサプライズド・ドージョーかしらね。同時に二つの描き手がそこを描く、というのは面白い事であるなあ。そうなったらいいなあ。