感想 真田シューイチ 『危ノーマル系女子』2巻

危ノーマル系女子 (2) (メテオCOMICS)

　大体の内容「とある殺人鬼の一生」。前の巻である所の1巻(感想)がまずシンヤを取り巻く女子達の紹介巻だったとするなら、この巻はその女子達がどのように動くのか、というのを魅せる巻。シンヤが動くとどうなるか、というのがしっかり見れたかと思います。これ以上の動きは出来無さそうで、ある意味安心でもありますが、そんな中でも危ない雰囲気がしっかり出ているのが、『危ノーマル系女子』2巻なのです。
　今回は一人の殺人鬼をシテンとして、シンヤを取り巻く女子達がそこに深かったり浅かったりクリティカルだったりアームチェアー・ディテクティブだったりするんですが、その中で一番重要なのは十華さん。そのストーカースキルを駆使して、殺人鬼の行動をじっくりと追いつめる、んですが、それで警察に突き出す、というのはしません。シンヤが特にそこまで求めてない、迷さえ守れればいい、という事なのですが、それもそれでどうなのというのがこの漫画の持ち味です。ただ妹は守る。でも、他の人は知った事ではない、というのがね。その辺の倫理感が中々壊れてるというか、止めるように言うだけってのがね。警察に突き出すとかしないのがね。そして十華さん以下、他の女子達もそれを咎める事がない、その事知らない人も関係なく殺っちゃう人もいますが、な辺りがなんとも言えない味がしておりますです。うすら寒い、というのはこの場合使い方間違ってるんですが、でもどこかヒヤリとするものがあります。1巻の段階でもシンヤの冷め方は怖いものがありましたが、それがこの漫画のトーンとして横溢しているんですよ。それが慣れると中々楽しい。背徳感というのを感じる出来栄えです。今回のゲストとも言える殺人鬼の方も、確かに頭おかしいんですが、なんというか、陶酔感を持っての仕事というか、俺逸脱してる！　ってトーンです。ゆえにシンヤの持ち味の冷め方、というのが対照的に浮かび上がってきます。特に陶酔もしてない、ただあるという感じに。この何とも言えない、冷め方というか、あり方というのが、この漫画の一番おかしい部分であるよなあ、とも。
　さておき。
　十華さん可愛いですヨネ。基本的に陽性ストーカーという新ジャンルで、シンヤにぞっこん過ぎてストーカーしてる子ですが、今回はそのスキルが活用されると、大変有能な諜報員として機能するんだなあ、と理解。便利な技術だよストーカースキルって！　でも、本当に有能なので、それで飯食えるだろこの子、って思っちゃいました。他の子が行く末が大丈夫じゃなさそうな中、十華さん一人だけ突出して食っていける感が強いのが、なんか面白かったり。美少女ストーカー探偵、ありやね。
　とかなんとか。