感想 楯山ヒロコ 『100万ボルトの彼女』2巻

 大体の内容「なるちゃんさん、高校へ!」。こういうのは同じ時空間でエンドレスになるものではないのか、と思ったか? 甘ェ! と言う事で1巻(感想)でも地味に時間が経過していたこの漫画。それに従ってなるちゃんさんも中学生から高校生に。と言う事で高校受験や中学卒業、そして高校入学へと駒は進んでいきます。そこで知り合う友達。そこで知り合う先生。地味に広がっていくなるちゃんさんを包む輪。そういう話にも見えない事は無いよな、うん……。と若干視線を逸らしながら言いきれる漫画。それが『100万ボルトの彼女』なのです。
 今回のトピックは最大は当然進学ですが、地味に1巻の引きからの続きとして、なるちゃんさんの天敵男子、稲田君の存在も大きなトピックであります。一つずつ見ていきましょう。
 進学の方は結構時間をかけての展開。ぱっと決めてぱっと受かってぱっと卒業、という訳にはまいりません。そこを忽せにしないのは、若干の周りくどさはあるものの、それだけなるちゃんさんの行く末にとって大事な時期であるというのを示しているようにも感じました。体質の問題もそうですが、学業の問題もそう簡単に終わらせてはいかん。ちゃんと青春としての一ページをきっちり刻まないと! というのかどうかは勝手な憶測しかできませんが、ちゃんとじっくりやったがゆえに、進学していくという事にこちら側も納得感を持って待ち構えられたようにも思います。そして高校! 華々しく! と思ったか? 甘ェ! と言う事で高校での生活の初っ端はまた基本ぼっちななるちゃんさん。ひかりさんが運動の方で特待生なのでクラス違うという事になっているのが諸原因ですが、このままぼっち道を? とひやひやしてたら、大きい系女子日野さん登場で一気に状況が変化します。日野さんは体も大きいですが器も大きく、静電気食らっても特に動じずでありまして、だから皆のまとめ役みたいな立場になっていきますが、そこになるちゃんさんを加えるという事をしだします。これで、なるちゃんさんはぼっちじゃないよ! と言う事に。ちょっとした事だけど、でもきちんと取り持つ人がいるというのは大事な要素なんだなー、というのを感じたり出来る展開であります。まあ、その余波でひかりさんが嫉妬の炎がメラメラとー! したりしますが、そこはなるちゃんさんが一番大事だから、って言って矛が収まります。なんのかんので基本的に人がいいですからね、ひかりさんは。クラス一緒じゃないし部活忙しいから助けに中々助けにいけない! というので焦ってたのも、嫉妬心を出してしまった原因ですが、それでもなんとか助けたい、って思ってるひかりさんは本当にいい子やね……。
 さておき。
 さて、稲田君です。なるちゃんさんの静電気被害者でもあり、昔いじめていたという経緯もあるという因縁浅からぬ相手である稲田君です。しかし、その実態は結構生真面目な奴で、なるちゃんさんの静電気被害者をこれ以上出さない為にも! という動機で動いていますし、折々でなるちゃんさんに突っかかるけど特に陰湿な部分は無いし、であり、むしろこいつどうしてこうもなるちゃんさんに? という疑問すら立ち上がります。お前の悪事を! とか言ってるのでそれだけ、昔の事がトラウマとかなのかもしれないんですが、稲田君についての話というのはあんまり出てこないので、そこんとこがよく分からない。謎です。しかも高校もなるちゃんさんが通う高校の近くの高校に、しかも特に苦も無くどころかもっと上狙えるっぽいのに近くだからと選んだみたいであり、尚更そこまでして……という気持ちに。この辺の行動動機が何時か出るのかなあ、という感じですが、それがなくても彼の行動のヘンテコな部分は大変楽しいのでこの漫画の一エッセンスとしてきっちり立ちあがっていたりもします。新たな回し方だなー、とか。
 そんな訳で高校編、どうなっていくのか。なるちゃんさん、高校生になって更に静電気力がアップしてる、ってなっててこれが社会人とかになったらどうなるんだろう、という戦きを覚えずにはいられません。流石にそろそろ上限なのかもしれないですけども、いや、油断ならぬ。というか社会人になってもやってけるんでしょうか。パソコンとか使えないだろ、これだと。その辺も踏まえた職選びとかの話とかになっていったら凄いですが、まあそこまでは流石にないかな。それを見たいっちゃ見たいんですけども。
 とかなんとか。