『まんがタイムきららミラク』2017年9月号 感想

今号の巻頭漫画感想

はりかも『うらら迷路帖

さあ、八占試験だ! ということで、学園祭と同時に試験が行われる、という独特な世界観であるがゆえの合理的な展開にしてやられたわ! な回でした。試験として占い屋をやる、って成程サンデーじゃねえの。っていうくらい合理的であります。確かに、それが一番の売りの街なんだから、そこを前に出してくるのは当然か。
展開としては、商売敵だけど戦友だから! という紺さんの言葉で全て言い表せるかと。どこかの妖怪えぐみと言われた事務のお姉さんはそういうのいいから、って感じをきっちり出していましたが、それが逆説的に決まる、そうはならないんだ! っていう意志力を感じて大変この漫画らしいなあ、と。そういう関係性いいよね。女同士のえげつない戦いも見たいっちゃ見たいんですけど、そういう漫画じゃねーからこれ!
それと、もはや誰も突っ込まないという部分である、千矢さんが薄着という部分、それでいままでどうしてたんだよという部分にメスがいきなり入って、でもそうなるよね、という回答が為されたのが個人的にはヒットでした。確かに、今ここで突っ込まないと永遠に突っ込まれないだろうタイミングでしたからね。緩急のためとはいえ、ここで入れてくる勇気に感動すらありました。よーやるわ。

個別チェック三連撃

タチ『桜Trick

春香さんが、優さんに、とうとう。この流れは言ってしまうと必然なんですが、でも今まで積み重ねに積み重ねてきたものが、7年近く積んだものがここでぐわっ! と来るのでもう、そうなって良かったねえ、としか言いようがないです。ここでカタストロフしたらそれはそれでタチ先生の業の深さが垣間見れるという見方もあるんですが、でもそうなるより、ちゃんときちりとした落としどころに落ちていってくれて、もう言葉がないというか、なんだかとっても、ありがてえじゃねえか……。ってCV稲田徹ですよ。そして、次回で最終回。きららミラクの初期勢としては、最後の作品になるこの『桜Trick』の終わりはどうなるのか。というか落としどころ決めてまだ最後じゃない、ってじゃあ最後どうなるのよ!? 震えて待て。

鴻巣覚『がんくつ荘の不夜城さん』

ビバ、新連載! ビバはイタリア語で、新連載は日本語だ! というくらいビバであります。登場人物を一人増やして、果たしてこの話はどう転がっていくのか。期待は否が応でも高まります。
さておき、今回は先に書いたように登場人物追加回。あかりさんの片目カクレっぷりが素晴らしいデザインですが、ぱっと見おとなしそうでいて意外とグイグイ行くタイプなのがいいです。不夜城さんが漫画家+引きこもり系なので、誰か家に入っていくというアクセントがないと話の展開が難しいですからね。某ごはんみたいにご飯ネタする訳でもないっぽいので、そうなればこういう押の強いのは重要です。片目カクレですしね!←二度目
それにしても、門外漢からすると、やはりきらら系の雑誌はどれがどれだか、なんでしょうねえ。4コマのは4誌全部買っている自分のようなのだとさすがに区別はつきますが、そうじゃないとぱっと見似たようなのにしか見えないよなあ。可愛い女の子が載っている雑誌、って全部そうだし。

市倉とかげ『まちびとカルテット』

水の力が使える子の加入で、私の出番がなくなるなんて! という回。
さあ、どんどん女の子を出していこうね。と、しまっちゃうおじさんならぬ女の子出しおじさんでもいるのか、っていうくらいに可愛い女の子をガンガン出してくるこの漫画ですが、設定の妙が良くて個人的にはイチ押ししたい漫画です。火事を消し止めるのが女の子! というのを納得させる為に色々手練手管を使っていたり、その能力と江戸時代の火消しの行動をちゃんと絡ませていたりと、中々にテクニカル。それでいて女の子可愛いで見ても十二分に楽しいというのだから、大したものですね。って刃牙の控室にやってきたおっさんみたいなことを言い出したくもなります。
今回はよろず屋面々にゐ組の方がちょっかいをかけて、三本勝負という形に。で、そのちょっかいかけたシャロさんがいい感じに可愛いのです。正統派ツンデレですよ。とはいえ単にツンだけでなく、メインの水担当奏さんの先輩としてもきっちりと立ち上がっており、ここでも成程サンデーじゃねえの。ですよ。いい関係性はいい。というのを見せつけられた格好です。これは、くるで……。

今号の巻末漫画感想

まえじま『となり暮らしのねこめがね』

今日も今日とて。
この漫画の良さというのは中々に地味ですが滋味でもあります。基本、些細な事を積んで二人の仲を見せる漫画ですが、今回だとコーヒーの袋を開けるだけの場所での二人の睦みあいが大変美味しゅうございました。開ける時は香り嗅ぎたいから言ってよ、という部分に、でも本に集中していたからそっちを妨げるのも、という気遣いが絡んで、本当に微細なレベルなんですが、でもそれがいい。そういう漫画であるかと思います。でも、本当に派手さがないんだよなあ。そこがいいんだ……。というキッド・ホーラ顔になりますけど、本当にそこがいいんですよ……。

一応の総評

次回でタチ『桜Trick』最終回の陰に隠れそうですが、今回は新連載が4つあるんですよ。つ…か、この新連載の数は異常! と言えるレベルです。きららミラクのみならず、他のきらら誌においてもここまで新連載が連打した記憶は、買いだしてからは一度もないと断言できます。それが、ここで発動するという。新陳代謝という言葉では補いきれないない何かが、ここにはあります。
また、ちゅー太先生と飴色みそ先生が新規読み切りで招聘されているのも見逃せません。この流れで再度新連載をもぎ取った鴻巣覚『がんくつ荘の不夜城さん』があるだけに、再び連載持ちに返り咲く可能性もなくはなく、今回の読み切りどちらも好みだったので、どっちも戻ってくるがいいや! ってなってしまいます。そうなるとまた誌面が連載初期勢で埋まる時期というのになるのかしら? それはそれでみたいなあ、とかなんとか。