感想 青田めい 『うにうにうにうに』1巻

うにうにうにうに (1) (まんがタイムKRコミックス)

うにうにうにうに (1) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「うにちゃん宇宙に帰してあげて!」。
 ユキ姉ちゃんが見つけてきた幼子、うにちゃん。その正体は妖怪であり宇宙人であり……、というのでミステリアスな方向に行くかと思ったら全然そういう事はなく、ある一家でうにちゃんが家(宇宙)に帰りたかったり、馴染んでみたり、でもやっぱり帰りたかったりする漫画。それが『うにうにうにうに』なのです。
 この漫画はきららMAX誌にある漫画なので、それは当然可愛い漫画である部分もあります。絵柄も柔らかなタッチで目に優しく、ふんわりという擬音がしっかりくる感じに見えます。そう、見えるのです。しかし、これは青田めい漫画です。先に単行本化された『ふわっとまどか』(感想)においてその素っ頓狂という言葉がしっくりくる作風をしっかりと爆裂させていた青田めいですよ! というくらいにこの漫画も可愛いと言う軸線を維持しつつも所々変な線がぶっこまれて作風がカオスに落ち窪んでいるのであります。帰りたい枠のうにちゃんがちょっと頭が宜しくないのと、この漫画最大にして最強のトリックスターであるユキ姉ちゃんさんの策謀が強度なのが組み合わさって、偶に訳のわからない時空旅立ちます。下着回とか特にそれで、うにちゃんが下着の意味が分かってないのを上手く使ってユキ姉ちゃんさんが大変楽しまれているのが大変目を惹きます。ユキ姉ちゃんさんの妹のやまめさんが、下着を勘違いしたまま、頭にパンツ装備して登場するうにちゃんに戦慄して、そこで終わりというのも相まって、この後どうなってしまったんだろうというのが謎のままだったりする辺りが素晴らしい。後の回にも全く続かないので、そこがどうなったか分からんというそこの収拾を投げ捨てるという選択がマジ卓抜であります。と言うか本当にどうなったんだあの後。ユキ姉ちゃんさんが怒られるという線はなさそうだけど、うにちゃんが泣き怒りくらいはしてそうなんだけどなあ。
 さておき。
 この漫画のノリは先に素っ頓狂と書きましたが、本当にす、す、素っ頓狂だー! という感じです。それが特に感じられるのはうにちゃんのお父さんから矢文が届く回。宇宙人というわりにはアナログな、と思えて実際はその辺に適当に投げても相手に届くというハイテクであります。ハイテクの使い方間違ってる気がしますが、実際そうなのでどうしようもありません。そして、その矢文がユキ姉ちゃんさんの弟、いわなくんに刺さる、刺さる、刺さる! というのがひたすらされるのが矢文回の素っ頓狂さ。どうあっても、他の人が取ろうとしても結局いわなくんに刺さるという謎の現象が、ひさすらされるので変な笑いが浮かびあがります。「なんでだー!!」といういわなくんの叫びもむべなるかな。その辺がこの漫画らしさとして立ち上がっていると思います。、
 さておき。
 この漫画で一番怖いのはやはり先にトリックスターと書いたユキ姉ちゃんさん。この人は相当のボケ担当なのですが、天然ボケとかではなく完全に計算ずくのボケをぶちかますタイプで、だからこそうにちゃんもその掌で踊らされていたりします。先に書いた下着回もそうですが、最初の方のひとりで犬が大丈夫なら帰っていいのよ? という件も素晴らしい。犬が駄目だと分かっている上で、それでも帰るなら追わないよ? と言いつつも犬がいる道を教える辺りの策士感は素晴らしいです。後、眼鏡を掛けたら頭良さそうというある意味定番のネタ回でのうにちゃんの乗せ方も上手い。乗せ過ぎてうにちゃんが逆立ちしてうろつくという変な事になってましたが。うにちゃん本当に馬鹿だなあ。そしてユキ姉ちゃんさんマジ策士だなあ。
 とかなんとか。