感想 クール教信者 『おじょじょじょ』2巻

 大体の内容「見合い相手がやってきたよ! というのが後半に一気に霞んでくるから困る」。地獄巡春と川柳徒然の恋話、それが『おじょじょじょ』な訳ですが、今回の巻では春さんの見合い予定だった相手が登場! 波乱!
 かと思った? 残念! 見合い相手は速攻で処理られました! と言う事で既に告白している二人の間には割って入る余地はなく、こいつ何しに来たんだろう感が爆発しておるクリスさんの存在が単なる友人ポジに速攻落ちていくのがこの巻の一つ目の見所です。ガタッ! と落とし穴に落ちていくというより、沼地に嵌って知らぬ間にずぶずぶと友人ポジに沈み込んでいく様は、なんかこれ地味にだけど、実は途轍もないことされてない? って思わされます。ライバルキャラ! ってとても良い響きだし良いキャラつけなのに、それが友人ポジに、しかも結構気のいい奴ポジになっていくんですよ? ライバルキャラも友人ポジになりやすいとはいえ、本当にあれ? ってくらい唐突に気づくレベルでするっと友人ポジになってるのに、それでいいと思ってるってのもまた。それだけ、春さんと徒然さんの仲が完成しているからでもありましょうが、それにしたってお前それでいいのか? 事案であります。
 一つ目の見所、と先に書きましたので当然二つ目の見所もあります。それがこの巻でクリスさんが霞んだ遠因である、紅さんの過去話がそれです。昔、中学の頃に春さんが転校を繰り返した、その一つの学校に紅さんがいて、孤立するのを助けられなかった、として、今の友達関係もその時の失敗から、というので離れていこうとするのですが……。ここでクリスさんが気のいい友人ポジになったのが効いてくるんですが、それ且つ春さんの成長が大きく響き、紅さんと春さんは仲違いする事なく友達のままとなるのでした。そして、その後の春さんの仲がいいから出来る作り笑い披露がもう。二人の語りあいからそこに至ってもう。いいなあ、この漫画。本当に良い漫画だな―。
 さておき。
 折角なので三つ目の見所を上げてみますが、これは単純に春さんと徒然さんの恋仲の進展具合と、それに伴う成長具合が大きいでしょう。徒然さんは無口無表情なので色々分かり辛いのは1巻目からそうでしたが、2巻では徒然さん内面に肉薄する事も多く、そこで結構春さんの事を考えてて、もう、本当にいいですわ。特に作り笑いだ、って笑顔した場面とか本当に、こっちも成長してるんだな、と感じられる一幕でありました。
 春さんも放送委員になってしっかり仕事をこなしたり、クリスさんを丁寧に処理してたり、紅さんとの直接対決でもきっちり対応してたし、であり、そんな二人で恋の中で成長して行く物語。それが『おじょじょじょ』なのだなあ、と納得の出来栄えでありました。恋愛物として告白が1巻で終わってどうするのよ。と思った昔の自分に出来る人だよ、クール教信者せんせは! と説き伏せてあげたいところです。今後、どういう風になっていくのか、期待して待ちたいと思います。