- 作者: 杜康潤
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2014/11/07
- メディア: コミック
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大体の内容「徐々に迫ってくる、『三国志』の足音」。この漫画が、三国志の有名な人物とその時代を描く漫画として徐々に立ち上がってきているのが、4巻の主流と言えます。そんな中にあって、それでも月英さんと孔明さんの新婚生活、あるいは精神的な繋がりをきっちり、当然ねつ造だけど描いているのが、この漫画『孔明のヨメ。』なのです。
実際の所、この漫画の特異でありつつ重要な点、というのは三国志において基本的に語られていない、諸葛孔明の劉備に与する前の頃を描いている点です。その頃どういう事があったのか、どういう事件があったのか、その中で孔明さんと月英さんはどうだったのかというのがある訳ですが、今まではだいぶ日常的な部分での、特に月英さんとの触れ合いという部分が強かったのが、3巻辺りから三国志の主流へと足を掛け始めておりまして、それが4巻では更に色濃くなっています。曹操の軍師、郭嘉の策謀に立ち向かうのがそれ。3巻で必要な人物の登場とする事の大体の路線は決まっていましたが、この巻でそれがどのように実行され、功を奏したかが分かるようになっております。この辺、かなりじっくりとしているんですが、それ故に効果が本当に出た! というのに納得出来るんですよ。この辺の上手さは中々。それで軍師としての力をつけていく、というのもあるのもうなずける展開と言えます。
それと同時期に黄父の荘園を開拓する話も。というか今回はこっちも一つの主体といえます。どうにも作物が育ちにくい土地に、どうやって実りを、というのをこれもじっくりとやっていまして、やはり納得出来る内容となっております。話の喩えが変かもしれませんが、鉄腕DASH!のDASH村における、作物から食べ物を作っていく形でこれは美味いだろうなあ、と思わせてくれる、あの感じ。あの積み重ね。下積みがあるから上澄みが生きると言う、ある意味当然だけど実際にするというのは難しい事がしっかり出来ているがゆえの、そういう納得感になっているなあ、と思う訳です。この辺は、実地で資料を調べたという部分がしっかりと下地としてあるのと、それを相手が三国志を知っている前提では出さない、つまり相手が三国志を知らない人であるのを前提として、それでもちゃんと納得出来るように色々と情報を上手く出していくからこそ、だったりするのかと思ってみたり。
さておき。
そういう部分以外にもう一つ特異というと、軍師諸葛亮孔明ではなく人としての孔明さんの話なのも、この漫画の重要な点。端的に言うと月英さんとのイチャイチャがこの漫画の重要な点です。三国志への合流も近くなっているのと、荘園開発で忙しかったのもあって、この辺りが弱くなっているか、という気も最初はしてた、3巻は特にそう感じてたんですが、4巻ではそこここで孔明さんが月英さんを、月英さんが孔明さんを気遣っていて、ああ、夫婦っていいなあ、という思いになってみたり。お互いの事を思い合うって素敵です。偶にデレデレが過ぎてあなたが元気じゃないと俺の子を、とか言いかけたりしてましたが。接吻の場面とか、うわあ、この二人いいなあというのと、爆発しろ! というのが重なって独特の感じがありました。そういう意味では、今巻において、三国志に流入しても、このまま二人の夫婦生活はなんとかなるのかな、と思わせてくれるものがあったのは収穫でした。そっちがやっぱり創作ゆえに出来る部分、ゆえにこの漫画の持ち味ですから。うん、過信しちゃいけないけど、大丈夫だ。
とかなんとか。