大体の内容「忍殺第一部屈指のエピソード、完結!」。2巻(感想)の感想時にあえてスルーしたのは、この巻においてきっちり語り散らす為であります。そんな素晴らしいエピソード、“ラスト・ガール・スタンディング”収録しているのが、『ニンジャスレイヤー』漫画版3巻なのです。
“ラスト・ガール・スタンディング”が忍殺のエピソードとして大変優れているのは、忍殺に貫かれている様々な基本が、伏線が、しっかりと表現されているからにほかなりません。たとえばソニックブーム=サンの名言「ノーカラテノーニンジャ」、カラテがあるものが上を行くというシンプルながら重要な言葉です。実際、ニンジャスレイヤーはジュツと言える物はほとんど出さない、ナラク憑依とかあるにしても、カラテの地力だけで戦っています。ジュツが強いニンジャもいるけれど、でもそれでは駄目だ、というのがテーゼとして織り込まれているのは、ある意味では忍術、忍法という物に対する意趣返し、あるいはお色直しという所でしょう。
それでも強力なジュツはある、というのもまたあり、それがヤモト=サンのシ・ニンジャの力で、ナラクも忌々しいと発言していたりするので、ここに何かしらの意味合いがあるのは明確であります。それが語られるのはまだ先というか原作でもまだ特に語られてないので、この伏線がどのように機能するのか楽しみであったりもします。
伏線というと、原作“ラスト・ガール・スタンディング”ではショーゴー=サンのその後は語られず、生死不明でありましたが、この漫画の方ではそこがフォローされておりました。ちゃんとイッキ・ウチコワシ合流の顛末というか端緒が描かれておりました。地味にフィルギア=サンが他のニンジャより先に出てるのと、カロン・ニンジャの名前が出てくるのが面白み。実際にカロン・ニンジャは居るので、フィルギアがなんで知ってるのか、というのが。死の淵に行った事あるのかしら。
また、ニンジャスレイヤーの登場シーンもこの作品の微妙な力加減がしっかりしている所であります。“キルゾーン・スモトリ”でもとんでもな登場をしてましたが、今回は更に頓狂と言える登場シーンを見せてくれるんですが、それも十分ネタとして楽しめる部分でありますし、その後のお前らあれだけやっててばれないと思ってんの?(意訳)な台詞で、成程先読みしていたのか、というのが組み合わさって何とも言えない味わいがあります。こういう淡いあわいも、忍殺の面白さとしてあるのであります。
漫画としての旨味、というのは当然画像として立ち上がる事ですが、今回の巻ではやはり「小宇宙!」、もそうですがその前のミニマルな木人拳めいたの部分のきっちりと描写されているとこがより見所です。本当にきっちりと描いていて、そこは手が抜けない! と考えたんだろうなー。というのが見て取れる場面でありました。こういう所でちゃんと力を入れるのが、この漫画のいい所であるなあ、とか考えつつこの項を閉じたいと思います。