感想 みずしな孝之 『いとしのムーコ』6巻

いとしのムーコ(6) (イブニングKC)

いとしのムーコ(6) (イブニングKC)

 大体の内容「今回も当然のようにこまつさん大好きな、ムーコなのでした」。基本的に小松さんが嫌いになる事が無いムーコなので、とりあえずこう言っておけば楽なので大変ありがたいですね、という自分の事は放っておいて、やっぱり絶妙な賢さのムーコの行動を優しく見守っていく漫画、それが『いとしのムーコ』なのです。
 さておき。
 先にも書きましたが、今回もやはり絶妙な賢さなムーコです。基本行動はバカ犬のそれなのに、そこに理解されないロジックがある。それもかなり賢いといえる物で、でも全部がそうではなく、部分部分で賢いせいで全体からすると結局バカ。このさじ加減が毎度の事ながら絶妙の域であります。今回は前の冬で思いついたゆきたべむしのせいなのね、そうなのね? とする回の話の流れが素晴らしい。アイス食ううしこうさんをゆきたべむしだ! したり、自分も雪にくらいついてそれをうしこうさんに「ゆきたべむしだ」って言われて、ええー!? 自分がー!? ってなってる所が最高です。賢さと馬鹿さのバランス! これこそこの漫画の醍醐味です。他にもティッシュに気を取られて全部開放! してしまう回とか、こまつさんとうしこうさんが遊んでくれて嬉しいなあ、しあわせだなあ、と思った次の瞬間にいつもの予防接種というので一気にダウナーになる回とか、いい具合になっております。
 にしても。
 この漫画も季節が順調に進んでいくので、このまま連載が進んでも、後6冊程度で、もしかするとムーコが、というのが頭にチラついて不覚。このゆるくてゆるい空気が、いつかはお別れがあるというのをはらんでいないがゆえに、予防接種回のようなどーん! というオチが待ち構えていたらどうしようか、とか恐れを抱いてしまったりも。その前に終わるのよりも、そこをして終わる事がこの漫画のありようだとは思うんですよ。そうした時に、今までの生活がまた美しく立ち上がってくるのでは、と思うんですが、でもまあ、こればっかりは予見のしようが無いからなあ。とかなんとか思いながらこの項を閉じたいと思います。