感想 秀河憲伸 『今日のユイコさん』4巻

今日のユイコさん(4) (アフタヌーンKC)

今日のユイコさん(4) (アフタヌーンKC)

 大体の内容「ユイコさん可愛いにも程があります!」。今回も基本的にユイコさんの可愛い所、全部載せ! 特に今回はちょっとした波乱があって大変だったけど、そのおかげでまた少し近づけたかな? というのが『今日のユイコさん』4巻なのです。
 まず基本的な話からしますが、今回の巻もユイコさんは! 可愛いですよ! というのは全く忽せにはされません。ちょっと頭が堅くて融通が利かないユイコさんでしたが、トモヤとの付き合いのおかげで大分変わってきた、というのが皆にも知られていますが、それでも頑固部分はまだまだ健在であります。トモヤへもまだ強く当たったりしますし。でもトモヤも負けてられない! とばかりに強く出てみたりもします。ここでユイコさんも頑固のままなら喧嘩モードなんですが、思ってもいない反撃を食らったユイコさんが急にしおらしくなってしまい、それでも一緒に冬休みの事とか話したい、ってなってこのトモヤ陥落(オチ)た! でありました。まあ、あのユイコさんのしおらしさといつもの堅さのギャップ食らったら、そりゃあ陥落するのもむべなるかなであります。読者であるこちら側もそのギャップでキュンキュンきたので、それを至近で食らったトモヤが持ちこたえられる訳が無いのですよ。
 さておき。
 もう一段基本の話をすると、この漫画では元はユイコさんの心境というのが態度と台詞以外では分からないという手管をしていました。所謂ツンデレスタイルのユイコさんの、その内情が語られないがゆえに湧きたつ普段の行動や台詞のデレ具合を感嘆する漫画なのです。しかし3巻辺りからユイコさんサイドの話が出て、そこでユイコさんの心境が出てきたりするようになりました。それはこの巻でもあり、それが喧嘩寸前になるクリスマスまでのバイト回。ここでは主に仕事風景を見る事になるんですが、その最後のオチが、トモヤとのデートの約束をバイト疲れて寝てしまってすっぽかす、というもの。ここでの狼狽ぶり、そしてその後の回での行動など、とてもトモヤが大切なんだなあ、という風に見えてきます。これだけでもう、ごちそうさまでした。と言う言が飛び出るのも無理からぬ事です。ちょっとどうなるんだろう、この波乱、と思ったらの綺麗なオチの付け方。そこも含めて再度ごちそうさまでしたと言いたいですね。
 さておき。
 今回の巻で好きな回の話で締めくくりますが、その34『粗相をしてはダメよ!!』が個人的にでかいヒットでした。赤崎さん家にお泊まりする回ですが、毎度毎度キスすらしないこの二人が、ただ襖を挟んで手を繋ぎながら寝る、というのがもうね。手を繋ぐまでの過程が素晴らしい。手探りで探して繋いだ手がもうね。この二人のもどかしい感じを端的に表している所でしょう。こういうのがあるから、やっぱりこの漫画好きなんだよなあ、と思うのでした。