感想 パイン 『きしとおひめさま』3巻

きしとおひめさま (3) (まんがタイムKRコミックス)

きしとおひめさま (3) (まんがタイムKRコミックス)

 大体の内容「きしとおひめさまのおはなし」。ミラク創刊時からの古参『きしとおひめさま』もこの巻で最終巻となります。色々謎い漫画でしたが、それが折り畳まれる事無く、広いまま「それはまた、別のおはなし。」と相成りました。やっぱり毎月の連載でいけなかった、というのはこの漫画には重しだったなあ、という考えもよぎりますが、それでも最後まで謎を解決したい気持ちはあるん! あるんよ! という態度だったのは好感が持てるというか、好きでした。そんな『きしとおひめさま』3巻なのです。
 さておかず。
 この話の広さというのは、最後まで広げ続けることによって余計に広く感じられたな、という印象です。きしとおひめさまが出会うことの必然がどういう意味合いだったのか。フェイスレスの騎士団を作ってまでしていた事は何だったのか。誰が負の魔法で大空洞を作ったのか。ぬまむらさんの恋心は届く可能性があったのか。ユーリとぬまむらさんにフラグは立ったのか。クニシアさんのやる気はどうなるのか。おひめさまは何をつくよさんに見せようとしているのか。そして最後を締めたあの人物は一体どういう役回りで研究所に居たのか。謎は謎のまま、解決される事無く、ただ心の縁に残るのであります。ってか、多過ぎるぞ謎! これ解決するの普通にやっても後4年くらいかかる、ある意味きゆづきさとこ棺担ぎのクロ』コースしても良かったんじゃねえか、とも思うんですが、やっぱりあれは売れているから可能なことなんだな、という理解もすっと湧いて、もっと派手に売れればねえ、というある意味正答ながら中々その答え通りにはならぬなあ、という感慨も。やっぱり謎の解決を少しでもやっとけば、うーんでも、あの隠しとおす意志力も好きだったしなあ。3巻になっても設定説明する辺り並々ならぬものがありました。
 さておき。
 この漫画、登場人物の掘り下げとか、地味ながらいい物があるんですよ。ぬまむらさんが魔法持ちで、でも本人気付いてないから意味が無いとか、クニシアさんとユーリの過去とか、クニシアさんと隼人さんの関係とか、クニシアさんとつくよさんの関係とか。舞さんと正治さんのいちゃつきとか、勿論つくよさんと隼人さんの関係とかも。語るだけではなく、行動でも示しているし、絵でも見せているのが好感度にビンゴビンゴします。どれもがっつりと語るんじゃなく、メインの話に添え物としてしれっと混ぜる、それが良いなあと。特にクニシアさんは添え物的に処理されるけど、地味に重い話があったり、逆につくよさんに好感があるけど、隼人さんのことは諦めないとか気風のいいトコとか、ホントいい。というかクニシアさんが好き過ぎるんだな。ちょっとのことですぐ気付いちゃうし。あー、つくづく三角関係が発展して泥沼になるの見たかったわー。
 とかなんとか。