感想 シバユウスケ 『シンメトリーズ』2巻

 大体の内容「双子には不思議な能力があるものよ!」。ということで双子入れ替わりコメディ、その最終巻が、『シンメトリーズ』2巻なのです。
 短命でした。いきなりそう言う導入をするくらいには、この漫画は短命で終わってしまいました。どこがいけなかった、という話は個人的にはあまり趣味じゃないので、ここ良かったのに、という話をつらつらとしていきたいと思います。
 シバユウスケ漫画というのは基本的に可愛い絵柄とそれだけではないえぐみが渾然一体となっているのが特徴ですが、それは今作でも健在です。メインである美久さんも夢さんも可愛いんだけどどこか変で灰汁が強い。それがむしろこの味! となると堪らなく堪らないのですよ。この巻でもそれを押していくスタイルは変わらずでありました。その力強さはこの漫画の間違いない美点であります。そこの癖が苦手だときついかも、とも思いますけど、この辺は趣味趣向の範囲でしょう。ついでにエロ方向にも貪欲なのがこの漫画の良い点であります。それも、直接的なエロではなく、匂い立つようなエロス。シバユウスケ絵の持つエロさがここでしっかりと出ております。それがあまりに出過ぎていたという見方も可能ですが、エロが嫌いな男の子はいません! なのでありがたいエロスであると言えましょう。特にスク水で絵具塗り塗りされてるとことかどうしようもなくエロスでした。エロス! シバユウスケのエロス! やっふー!
 さておき。
 新聞部物として積み上がり始めていたのに、というネガティブな気持ちが湧くくらいには、人材が集まりだした途端の終了劇で、特にイラスト担当ルーコさんが天然ボケでいい味わいを出していて、この漫画の駆動がしっかりしてきた所で、なので本当に勿体ない感じです。ルーコさんは本当に良いボケ具合で職能もしっかりしててなので本当にこれがきっちり噛み合ったら面白くなる部分だっただけに勿体ないのであります。この辺から積み上がりからの学園祭回3回は色々と波乱含みで楽しかったんですよ。これをもっと拡張したのが見れたら。そんな事を考えないと言いながら、でもやっぱり考えてしまいます。それだけ楽しめたということでしょうか。最後の回での走っていく新聞部の面々を見ると、そういう幻想が浮かんでは消えるのでありました。本当に、このまま連載が続いていたらどういう漫画となっていだろうか。新聞部がどう盛り上がっていっただろうか。報道部との確執と和解はもっと長くかかって、だからいい落とし所が出なくてもにょもにょすることになったんではないかとか、やはり考えてしまったり。本当に、もうちょっと見たかった。
 とかなんとか。