感想 ふじた 『ヲタクの恋は難しい』1巻


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ヲタクに恋は難しい: 1

 大体の内容「オタクって本当に、面倒くさいね……」。隠れ腐女子の成海さんとゲーオタ宏嵩さん。ガチオタの二人が久しぶりに再会し、そして始まる恋物語。などと、その気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ。というくらいに進んでんだが戻ってんだかの恋模様。それが『オタクの恋は難しい』なのです。
 ここで言う進退とは、ぶっちゃけると時間の部分であります。二人の最初の出会いである小〜中学生期の恋心に立ち戻って、でも今は大人で進んでいく。そういう関係性なのですが、でも最初の恋心は小〜中学生の奴なので今の恋もわりとピュアピュア。その上、成海さんは宏嵩さんが昔から恋心持ってたこととか、それを宏嵩さんがどうして持ったかとか、全然覚えてないしオタ友だし、という体たらく。なので一周回ってこじれている状態なのです。そもそも大人として出会って付き合うようになったのも宏嵩さんからのモーションからであり、成海さんはオタがバレて振られた後で出会った宏嵩さんをオタ友として付き合いやすい、って理由で親密になるというこの距離感の違いったら! それが分かる回を経て、最初を見直すと、成程宏嵩さんは気持ち思い起こして行動してるんだな、って見えてくるのですが、それなのに成海さんたら、というのもまた見れて、やきもきもしますが大変味わい深くもあります。いやあ、ホント成海さん酷いとこありますヨネ。
 というのでも、しかしその辺はちゃんとフォローアップがあるのもこの漫画の良い所。先輩カップル(ただ距離感が成海宏嵩ペアより更に面倒くさい)の、お互いオタだから、居やすいから付き合ってるの!? 妥協!? という喧嘩での言葉を(外野なのに)きっちり受け止めて、お互いの仲を見直そうとする成海さんはちゃんとした大人です。この部分での気付きとお互いの歩み寄り、オタだと楽なのは認める、けど、とか、先の昔と今での距離感の面倒くささの立ち上がりとか、オタ部分の理解というかオタあるあるのそれな! 感以上のものが、この漫画にはあるのです。だからこそ、先輩カップルと同じような目線で二人の恋路が見れるのでもあります。あの二人マジ気を置き過ぎてるよな……。とかね。
 さておき。
 個人的に好きなのは先輩カップル、小柳樺倉ペアの方なんですよ。それも小柳さんの面倒くささが大変いいんですよ。先の喧嘩でのあんたの好きなランカにはなれないわよ! という自分シェリル扱いかよ! な捨て台詞で去りそうになるけど、でも樺倉さんのことが好きだからこんなことばっか言ってると嫌われちゃう……。って本気面倒くせえな! っぷりを見せつけてくれます。お熱いんだけど、お前らもうちょっと冷静さをだな! って思ってると樺倉さんがそっと抱きしめて、ってもうね。なんだよお前ら結局仲良いんじゃねえか! 末永く爆発しろ! 後小柳さんはもうちょっと面倒なとこ少なくしてこ! ってなりますよ。でも、あの面倒くささがないとそれはそれで楽しくない(読者視点で)ので、もっと色々やってくれると面白いんですが、さて、どうなりますことやら。