感想 jin 『残念女幹部ブラックジェネラルさん』1巻


jin 残念女幹部ブラックジェネラルさん(1)【電子特別版】
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「残念な女の人って、素晴らしいな……」。秘密組織RX団の幹部、ブラックジェネラル。ヒーローのブレイブマンに相対する彼女は、しかし残念な人であった。彼女はなんと、ブレイブマンが大好きだったのだ! それもライクじゃなくラブ! ということで、ブラックジェネラルさんがブレイブマンに猛烈アタックしたり新しい人員を探してきたりする漫画。それが『残念女幹部ブラックジェネラルさん』なのです。
 ブラックジェネラルさんは本当に残念です。自分からは猛烈にアタックしながらも、攻められると弱いというのがもう。ブレイブマンも特に攻めたくて攻めてる訳じゃないというのが更にブラックジェネラルさんの残念さを加速させます。ブレイブマン、人質がいるということで要求を聞いたらハグして! で、だから嫌々ハグしてあげたりしますが、返礼は猛烈な鼻血。なんだよこいつもー。という感じです。他にも男は結局胸! というのを真に受けたのはいいんだけど使い道間違っていたり、敗れて拷問するんでしょウスイホンみたいに! って嬉しそうにしたり、もうこいつ駄目だ……。というのを全開にしてくれます。
 そういう人が幹部なので、RX団は零細組織です。最初はボス、秘書さん、ブラックジェネラルさん、戦闘員3人という状況で、博士役もいないから改造人間もいない! と言う状況です。途中で博士が加入して、改造人間も作れるようになるんですが、幹部がブラックジェネラルさんなので、当然怪人もへっぽこ。ボスも強いんだけどブラックジェネラルさんのへっぽこ部分に引きづられてへっぽこに。ということで現在株を下げていないのは秘書さんだけだったりするという状況で、なんでこいつら世界征服とか言い出しているんだろう……。と遠い目をしたくなります。なんで出来ると思ったんだろうか。ボスは能力的には強いから、出来ると踏んだんだろうけど、ブラックジェネラルさんが配下の段階で駄目過ぎじゃね? と思ってしまいます。もうちょいマシな人選は出来なかったんだろうか。あるいは、何故ブラックジェネラルさんが幹部なのかというのがいつか開陳されるんだろうか。そうなったらいいなあ。
 さておき。
 斯様に残念なブラックジェネラルさんですが、だからこそというか、それゆえにというか、恋する乙女と自分の仕事をはき違えているところが大変な魅力的に見えます。残念なのが裏返って魅力として立ち上がってくるのは我々は知っている! ことだと思いますが、その中でもブラックジェネラルさんの残念さは素晴らしいものがあります。先に書いたように攻めは変態チックで無闇なのに、守りはすげえ弱い。ラブの部分に対して、欲望に対して忠実過ぎるので、それが成就しそうだと舞い上がっちゃう。そこが可愛いんですよ。人質取った時もハグして! から徐々に段階を踏んで入籍まで、という攻めるハートの強さと、ハグの段階で鼻血出過ぎて昏倒しそうに、という守りの弱さがもう。こういう一つのコインの裏表でのギャップというのが堪りません。内容的にギャグ漫画で、更にブラックジェネラルさんが出てきかたがどんどんとG=ヒコロウ漫画めいてくるのも、またオチでのブラックジェネラルさんの駄目さ加減と合わさって一種伝統芸能っぽくなりつつあります。ブラックジェネラルさんがブレイブマンをオトす日は来るのか? という部分も合わせて、今後が気になる漫画であります。