感想 よしむらかな 『ムルシエラゴ』7巻


よしむらかな MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 7巻
(画像のリンクが物理書籍のページ、文章のリンクがkindle版のページ)

 大体の内容「県警対桜剪会」。今回の『ムルシエラゴ』は警察に対して宣戦布告をしてきた不敵な桜剪会との暗闘であります。桜を剪定する会と書いて桜剪会。桜の代紋の警察と、何かの関連性はあるのか。桜剪会首魁緋垣の言葉には色々と含む物があり、それにどういう意味があるのか、そしてはたして警察はどうなるのか。そういうサスペンスなのが、『ムルシエラゴ』7巻なのです。
 この巻での展開は、『ムルシエラゴ』という作品の根幹部分に肉薄しかけている、という印象を受けました。1巻であった「夢中遊行」は、地味にこの漫画ではベースとして時折思い出されるものでした。それのある種発展版が、今回登場する訳ですが、しかし、一回死んだ後にもう一度動けるように、つまり死体を動かすというもののようにも見え、そうであるなら相当厄介な代物であるのは間違いない。にしても、それをどこで手に入れた? そしてそれを使ってどうする? というのが謎なままです。そもそも警察と戦争がしたい、というので無茶な話でありますし、緋垣の桜を元に、という発言も謎めいています。今後この辺がきっちり回答されるか、というとそれは結構謎深いところです。匙加減次第ですからね。それに今までの犯人の妄執は大体狂っているものでしたが、この緋垣はそこまで狂っているようには、登場する場面からすると感じないんですよ。警察に喧嘩売って、しかもその地理的な意味での地下に潜伏しているというのも解せない。ばれたら一網打尽で、実際黒湖に場所バレしてしまっている。そこから、どうするつもりなのか。この辺に、今回のシーズン題「忘却の桜」が絡んでくるんでしょうが、さて、どうなるのやら。
 さておき。
 今回の巻はレズいシーンはおまけページにしかありません。百合シーンも仄めかすのが多くてしっかりとは。ですが、前回の巻での陰の百合を見せた皆子さんと風莉さんは今回も陰の百合全開です。


守りたい、この笑顔

 はいでしょ? ってぶってこの笑顔。陰の気の百合としては流石過ぎる皆子さんです。更に、この陰の百合が濃さを見せるのが、次のちょっとした場面です。


一見、だけど

 これだけ見て、分かる人は分かるかと思いいますが、それでも分からない方の為にもう一段ズームアップしてみましょう。


これは……

 どう見ても爆弾仕込まれた首輪です。本当にありがとうございました。前回では社会的な生殺与奪権を奪ってたのに、今回では完全に身体的生殺与奪権を奪われている、風莉さん。完全に唯唯諾諾しないと死ぬという状況で、だから皆子さんのせっかんからの「はい」であの笑顔ですよ。その陰っぷりが凄まじいことになっているのが分かっていただけると思います。あの風莉ちゃんが完全に私に従う! 従うしかない! というのをやっておいてあの笑みですよ。陰の百合として完全に独自の域に到達しています。正直、この陰っぷりに関してはこの漫画の最悪である黒湖よりも一段上という凶悪さであります。まあ、この状況にしていて特に改善もしようとしないどころか生活拠点あげてむしろほう助している黒湖も相当アレですが。
 さておき、忘却の桜編、次の巻に続きます。県警対桜剪会はどうなるのか。そしてそこで緋垣がどれだけ無念のまま死ぬのか。楽しみですね! というか、黒湖が最悪過ぎてその辺の殺人鬼程度だと全くモブ感があるんだよなあ。だから、緋垣も大義とかあって、だろうけど、そこはだからこそ無残に、というのがこの漫画なので、果たしてどうなるのやら。
 とかなんと0か。